とまあ、こんな感じで散々な結果になった「初めての交流試合」だが、ピコカキコは面白い。音符を英数字で表す「MML」の文法を覚えれば、誰でも簡単に音のメッセージが書き込め、聞く側はブラウザーを用意するだけでいい。
MML自体は新しい技術じゃないけれど(年長の読者は8bit機のPLAY文なんかを思い出すかもしれない)、それが生み出すコミュニティーを想像すると、なんだか新しいことが起きている予感がする。そこで、この新機能をひとりで開発した、未来検索ブラジルの末永さんにこれまでのいきさつや今後の展開を聞いてみた。
ゆる~く、ディープな「ピコカキコ」開発秘話
── 末永さんておいくつなんですか?
末永 28歳です。
── 28歳だとMMLって──。
末永 知ってる世代の最後じゃないですか。
── MMLが載ってるマシンを触ったことがあったんですか?
末永 親父がなぜかパソコン好きで、小学2年生のときMSX2を買ってきたんです。FS-A1という松下の巨人の絵が描いてあるやつです。
── アシュギーネですね。MSX2でMMLにハマッた、と。
末永 MSX2でもやったんですが、ファミコン・ミュージックが好きで、ファミコンでも音を作って遊ぶようになって、次にスーファミのプログラムを書こうと思うようになったんですよ。それで、草の根のパソコン通信のコミュニティーに参加して、スーファミの音源ドライバーについて話し合ったりとか。
── ホームブリューな世界ですね
末永 そうです。中学生のときにそういうことをだらだらやって、そこから巡り巡って(笑)、いまは「2ちゃんねる検索」とかをやってるブラジルという会社にいるんですけども、そこでニコニコ動画のWikipediaみたいなのを作ろうっていうプロジェクトが出たときに、けっこう好きに任せてもらえたんです。
自分で「こういうのやってみたい」と思えるアイデアを何個か入れてみました。例えば、Wikipediaには音楽は貼れないですよね。権利関係の解決をしてくれるわけではないので。つまり、音楽が貼れるって差別化になる。あと、ピコカキコはFlMMLというモジュールを使っています。フラッシュでMMLを解析して音を出すライブラリーなんですが、これでイケる、と。
── なるほど、クライアント側はFlMMLでイケたとして、サーバー側はいろいろやらないといけなさそうですが。
末永 MMLなので、テキストさえ貼れればあとはオッケーなわけで、サーバー側はMMLを記録しているだけなんです。
── MMLというと、「テキストで音符を書く」というくらいしかイメージが湧かないんですけど、そういうことでいいでしょうか。
末永 はい。「CDE……」と書くと「ドレミ……」と音が出ます。波形を作って、すべて合成して、ということをFlMMLがやってくれます。サーバーから送られてくるのは、生のMML、つまりテキストを送っているだけなんです。そう説明すると、ボクが何もしていないという事実が明らかになったわけですけども(笑)
MMLとは?
Music Macro Languageの略で、アルファベットの「A~G」で音階(ラシドレミソ)、「R」で休符、「+」と「-」でシャープとフラット、音の長さを音符や休符の後ろの数字で表す。これらを掲示板に貼り付けると音の投稿ができてしまうのがピコカキコだ。
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