フルサイズか、フラッグシップか
フルサイズとAPS-C機の基本的な違いを見てきた。次にD700とD300の違いを中心に見ていこう。価格的に見れば、D300(APS-C機)の上位に位置付けられるD700(フルサイズ機)。価格で見ればD700はD300より10万円以上高価だ(2008年9月現在でD700は実売30万円超、D300は実売20万円以下)。しかしこの2機種の間にはちょっとした逆転現象が起きている。
まずD700は昨年発表となったプロ用のフラッグシップ機「ニコンD3」をハイアマチュアでも手の届きやすい価格に落とした製品。(おそらくもっともコストのかかる)センサーとそれに付随する画像処理エンジンはD3と共通だが、ボディーに関してはより安価なつくりになっている。
一方D300は、同社APS-Cのフラッグシップ機。センサーサイズは小さいが、フラッグシップをうたうだけあって、100%視野率のファインダーなど、スペック的にD700を上回る部分が多々ある。また、本体も一回り小さく、軽量なAPS-C専用レンズと組み合わせれば、機動性の高いシステムを作れる。
ここからは個人的な感想になるが、実際にどちらを選ぶかは頭を悩ませる。フルサイズというゆるぎない要素を除くと、D300のほうがサイズも小さいし、つくりも若干いいし、圧倒的に安い!(これ重要) これは実機を比較してどっちが買いなのか、じっくり考えてみたいなと思ったわけである。
画作りの統制感はさすが、違和感なく併用できる
今回カメラマン諸氏のご協力のもと、実写サンプルを用意してもらった。まずは、気になる「撮れる画」についてだが、基礎体力的な部分の差はそれほど感じられないというのが実際のところ。
特に「画作り」は統一が取れている。D3とD200を所有するカメラマン岡田氏によると「D200時代には機種ごとに吐き出す画に差があり、色あわせなどに苦労した部分があった」という。しかし、今回の結果を見る限り、発色にしても解像感にしても、非常によく似た傾向でピクチャーコントロールによる統制がビシッと利いている。
有効画素数もともに1200万画素程度で大きな差がない。同じCMOSイメージセンサーでも1画素のサイズや、信号の読み出し方、A/D変換の仕組みなどは大きく異なる。細かく見ていくと、コントラストやダイナミックレンジに違いが出ている気もするが、パッと見ではほとんど差を感じない。
人によってはAPS-Cとフルサイズを用途によって使い分けたいという人もいると思うが、そういう人もまずは安心だろう。