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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第33回

「家族に怒られながら作った」ウェブ図鑑、昆虫エクスプローラ

2008年09月15日 09時00分更新

文● 古田雄介

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昆虫写真は高解像度で! 11年越しのポリシー

── 履歴を辿ると、サイトを始めた1997年頃からすでに高解像度写真を何点も掲載されています。当時はナローバンドが多かったと思いますが、そのあたりで不都合はなかったですか。

川邊 確かに初期の頃は読者から「開けない」「重い」といった声をいただきましたし、自分もアップするのに苦労しました。でも、僕のサイトは画像やFlashがアイデンティティーなので、読者の方には申し訳なかったけど、そこは気にしないという方針を貫きました。

 その点、今は本当に気楽になりましたね。ブロードバンド回線が普及したことで読者からのそういった苦情もなくなりましたし、レンタルサーバーがそれまでの100倍の容量になったりと、写真が上げ放題になりました。昔掲載した昆虫のページにもどんどん写真を追加しています。

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むし探検広場。読者から毎日届く質問を川邊氏がセレクトして、1日3件のペースで掲載しているサイト内ブログ

── 11年間もサイトの更新を続けるのは大変なことだと思います。

川邊 でもモチベーションが下がったことは一度もないですね。昆虫撮影は趣味ですし。あえていえば「むし探検広場」という読者からの質問に答えるコーナーがあるのですが、その更新が一番大変です。特に夏場は読者からの質問もたくさん来るので、1日3件までの返答と決めているんですよ。それでもやっぱり答えてしまうんです。たまに1日5件くらいのペースになったりもして。それを毎日だから、自分でもよくやっていると思います(笑)

 それでも続けられるのは、「世の中の役に立っている」と実感できるからなんですよ。それがなくなると寂しいから、何度かコーナーを休止しようかと思いましたが、やっぱり続けてしまう。


── 虫が嫌いな読者からの質問も意外と多いですね。

川邊 そうですね。虫嫌いの人にも、これをきっかけに興味を持ってもらいたいと思っています。虫嫌いといっても、例えば「近所の木にヘンな虫がいて、気持ち悪いけど正体が気になる」という人は、「その虫はこういう名前で、こんな面白い生態があります」と返答すると、それから積極的に探すようになることもあるんです。そうなったらしめたものですよね。

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昆虫エクスプローラでは昆虫以外の虫も掲載している。画像のアシダカグモは川邊氏の自宅で発見したもの。家族に処理を促されるが撮影欲が抑えきれず、殺虫剤を少量かけて弱ったところを狙ってシャッターを切ったという苦労の一品

── なるほど。ちなみに、川邊さんが嫌いな虫はいないんですか?

川邊 いますよ。ゴキブリやゲジゲジみたいに家に出る虫はやっぱり嫌いです。特にゴキブリの場合「僕の陣地が侵される」という面と「足が速くて飛ぶかもしれない」という素早さへの警戒心、この2つが重なって嫌いな気持ちが起こります。これは治らないですね。

 ただ、嫌いなんですけど、それでも写真を撮りたいという気持ちは起こるんです。それで家族に「写真を撮っていないで捕まえてよ!」と怒られたりして(笑) でも撮りたいんですよね、やっぱり。

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