ブラウザー乗り換えに自信を見せるグーグル
今回、レンダリングエンジンにオープンソースのWebkitを採用した理由を、米グーグルでGoogle Chromeの開発を担当したライナス・アップソン氏は「スピードが速いこと。コードがシンプルで開発・改善が容易なこと。Webkitを採用しているAndoroidの開発などで使い慣れているエンジニアが多かったこと」を挙げた。
ウェブ開発者の中には、これ以上ブラウザーが増えるとチェック作業が困難になるという声もあるが、「Safariに対応していれば、新たなレンダリングエンジンに対応する手間はかからない」と及川氏は主張する。
Google Chromeのコードは「Chromium」という名前でオープンソース化される。「われわれはオープンソースのコミュニティを発展させていきたい。したがって、われわれのテクノロジーも他のベンダーに活用してもらいたい」とアップソンは述べる。
Googleが新たなブラウザーを開発した目的は、より複雑なウェブアプリケーションが生まれるインフラを整えることだ。アップソン氏は「ブラウザーの信頼性が高まり、機能が向上すればするほど、もっとリッチなアプリケーションが使える。Google Chromeなら、JavaScriptのウェブアプリケーションがさらに進化して複雑なものになっても対応できる」と未来を見据えた開発であることを強調した。
とはいえ、Internet ExplorerとFirefoxをあわせて9割以上のシェアを誇る、寡占化された世界に入り込むのは容易ではない。そもそもブラウザーに 選択肢があることすら、知らないユーザーも多い。しかし、グーグルは、Google Chromeを使ってもらえれば、その良さが分かり、乗り換えるユーザーが多いと自信を持っているようだ。
アップソン氏は「自動車を購入する前にたいていの人はいろいろな車に試乗する。一般の人にもブラウザーに選択肢があることを知ってもらい、実際に試してもらって、その中から一番いいものを選択してもらえればいい」と会見を締めくくった。