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塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第18回

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”

著作権法をポジティブに

2008年09月21日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ

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クリエイティブになるために大人が子どもたちにできること


 次に、法律の規定のされ方を考えてみよう。例えば刑法199条(条文)は「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する」、235条(条文)は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と、それぞれ殺人罪、窃盗罪を規定する。これによって刑法は人々に対し、「人を殺すな」「他人の物を盗むな」と呼びかけているのだ。

 また刑法以外の法律に規定されている刑事罰規定も同様だ。例えば著作権法であれば119条(条文)以下で、著作権侵害をしたら罰を科すと定めることで、著作権侵害をしないように呼びかけているのである。

 このように法律がさまざまな行為を禁ずるのはなぜだろうか。あれもこれもダメ……。そうやって禁止事項を増やしていくと、生活が堅苦しくなるのではないか。

 しかし法律がこれらの「禁止」を定める真の目的は、人々の自由を保障することにある。憲法上、人々は自由であるのが大原則。ただし、いくら自由といっても他人の生命や財産などを侵すことまでもが認められるはずはない。そこでその自由に限定を加え、社会で生きる人間相互の自由の衝突を回避するのが目的だ。

 その観点に立てば、法律が禁止事項を定めるのは、手段なのである。禁止された行為が行われないことによって、人々は安心して暮らすことができる。そして、禁止されていない行為は確信を持って自由に行える。そういう自由な社会にすることが真の目的なのだ。


(次ページに続く)

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