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日本のアニメーションを代表する監督5人、杉井ギサブロー監督、りんたろう監督、出崎統監督、高橋良輔監督、富野由悠季監督が広島に集結した!

五大監督かく語りき……「私が手塚治虫から学んだこと」

2008年09月02日 20時00分更新

文● 柿崎 俊道

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虫プロダクション草創期のメンバーである偉大な監督たち

松谷孝征
 本日は猛暑のなか手塚治虫の上映会に参加していただき、ありがとうございます。本日はまずあり得ないような、すばらしい5人の監督に登場していただいて、手塚治虫のこと、あるいは手塚治虫作品のこと、あるいはご自身のことをいろいろと話していただきます。おそらく、どこでもこの5人が集まることはないと思います。皆さん、虫プロのOBで、手塚治虫さんといっしょにアニメーションを作ってきた方たちでございます。

『アニメーションより愛をこめて/手塚治虫の仕事』会場

『アニメーションより愛をこめて/手塚治虫の仕事』会場

 手塚治虫は一番最初に虫プロダクションを作りました。虫プロダクションはアニメ制作をしているんですけども、そのすぐあとに虫プロ商事を作りました。この虫プロ商事は出版であるとか、皆さんもよくご存知だとは思うのですが、Tシャツにキャラクターを入れるようなマーチャンダイジング、版権の仕事をしています。手塚プロダクションというのは、手塚のスタジオといいますか、漫画を描くためのスタジオです。その3つが会社としてありました。
 ところが、虫プロダクション、虫プロ商事というのは残念ながらなくなりまして、今は、手塚プロダクションに全部集約しているのです。私も昔の虫プロダクションの話はよく聞いています。潰れる1年くらいはずっと見てまいりました。皆さんはその虫プロダクションの草創期のメンバーです。今や、偉大なアニメーションの監督になっている方々です。

 一番最初に杉井ギサブローさんを紹介したいと思います。杉井ギサブローさんは最初に東映動画――今は東映アニメといっていますが――入社しました。この会場にいらっしゃる方はほとんど見たことがないかもしれませんが、『白蛇伝』とか『西遊記』という劇場用の映画に携わりました。そして1961年、手塚治虫とともに虫プロ創立に参加なさいました。『鉄腕アトム』や『どろろ』の監督、その後、グループタックという会社を創立されまして、皆さん、ご存知の『タッチ』であるとか、(今回の広島国際アニメーションフェスティバルの)劇場で上映しました『銀河鉄道の夜』を監督しました。最近では、劇場用で『あらしのよる』にが大変話題になりました。それでは杉井ギサブローさん、どうぞ。

―― 杉井ギサブロー監督登場。会場拍手

松谷
 次にりんたろう監督です。りんたろうさんは、同じく東映動画に入社なさって、同じように1961年に虫プロ設立の時に参加なされました。『ジャングル大帝』の時にチーフディレクター、『ムーミン』を監督しました。そのまま、フリーになって角川映画のアニメ第1作『幻魔大戦』、それから『宇宙海賊キャプテンハーロック』といったものを監督しています。その後、手塚作品では、マッドハウスで『火の鳥 鳳凰編』、それから『メトロポリス』をやっていただきました。すばらしいアニメの開拓者であります。りんたろうさんです、どうぞ。

―― りんたろう監督登場。会場拍手

松谷
 次は出崎統さんです。虫プロでは『鉄腕アトム』の作画や演出をされていました。その後、フリーの立場で『あしたのジョー』でチーフディレクターをなさいました。『ガンバの冒険』や劇場版『ブラック・ジャック』の監督をしています。みんな、作品名をあげると紹介だけで(トークショウが)終わってしまいます(笑)。出崎統さんであります。

―― 出崎統監督登場。会場拍手

松谷
 次は高橋良輔さん。虫プロ時代は『W3』、『どろろ』、『リボンの騎士』に参加しています。その後、サンライズ作品に参加し『装甲騎兵ボトムズ』、手塚作品では『火の鳥』のテレビ作品を手がけていただきました。高橋良輔さんでいらっしゃいます。

―― 高橋良輔監督登場。会場拍手

松谷
 最後になりました、富野さんです。富野由悠季さんはすごく簡潔に3行だけ、プロフィールを書いてくれました――。

―― 富野由悠季監督、紹介を待たずに登場。「巻き」のジェスチャーで会場の笑いを誘う。

松谷
 (笑)虫プロダクションを経てフリーとなる。その後、演出家、監督としてさまざまな作品を手がける。もちろん、皆さん、ご存知のように『機動戦士ガンダム』で有名でございます。富野由悠季さんです。

―― 会場拍手

松谷
 司会進行をしていただく片山雅博さん(多摩美術大学教授)、特別参加として手塚眞でございます。それでは片山さん、よろしくお願いいたします。

片山雅博
 もう紹介だけで終わってしまうんじゃないかと思いました(笑)。それほど、偉大な方々にここに集まっていただいたということでございます。さっそく手塚治虫回顧上映記念トークをはじめさせていただきます。みなさん、よろしくお願いいたします。




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  • 銀河鉄道の夜

  • 宮澤賢治の原作で杉井ギサブローの監督のもと、登場人物をますむらひろしの描く猫キャラに置き換え、脚本に劇作家の別役実、音楽に細野晴臣を迎えて制作された劇場用長編傑作アニメーション。

(次ページへ続く)

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