高転送レートで圧倒的な描写力を見せつけたキヤノンが好印象
今回もっとも驚かされたのは、メーカーによって撮影画質がかなり違っていることだった。高精細さひとつをとっても、メリハリ感を重視してパッと見て高解像度に感じるものもあれば、一見穏やかな雰囲気だがしっかりとディテールを詰め込んでいるタイプのものもある。特に色再現はメーカーによってバランスの取り方もさまざまで、見た目の印象を大きく左右している。
個人的な印象では、24MbpsのMXPモードを持つ、キヤノンのiVIS HG21がもっとも好ましかった。「MXPモード」は、一般的なDVDプレーヤーでは再生することができないため、少々扱いにくい部分があるが、それを差し引いてもこれだけの映像表現ならば積極的に使いたいと思わされる。
日立のDZ-BD10Hは700万画素CMOSによる高精細さにより、細かく複雑な部分の描写に優れていた。
ソニーのHDR-SR12は、見た目の印象に忠実な映像で、しかも精細感やノイズ感、色再現のバランスがトータルで優れていた。
パナソニックのHDC-HS100は豊かな色の再現が魅力。人物撮影を行なうと健康的な肌の再現でも実力を発揮してくれるはずだ。
サンヨーのDMX-HD1010は、動きのある映像を撮影する際に強力な武器になるだろう。サイズもコンパクトなので、アクティブな撮影をするなら最良の選択候補になりそう。
精細なMPEG-4 AVCと柔らかなMPEG-2。異なる味わいの映像のビクター
テスト機の借用時期の関係で横並びの比較ができなかったが、日本ビクターの「Everio GZ-HD40」についてもレポートしよう。
GZ-HD40はMPEG-4 AVC(AVCHD)とMPEG-2での記録に対応した、HDD(40GB)内蔵のフルハイビジョンカメラ。
MPEG-4 AVCの映像は、わずかに明るめで高精細さを意識した映像だ。ディテール感などはかなり明瞭だが、やや輪郭部のジャギーやちらちらとしたノイズが気になることがあった。
色のりはやや緑が強く、鮮やかさを演出した印象になるが、色の細かな変化を巧みに描き分けるのが上手である。
映像のリアルさを損なわずにうまくメリハリを効かせた映像はなかなかのもので、不自然さを感じさせずにくっきりとした映像を見せてくれる。
EPモードでの撮影でも、基本的には同じ傾向で、精細さは十分だがわずかにノイズが散見されるのが惜しい。動きに起因するノイズ発生や動きボケなどはあまり感じないので、MPEG-4 AVCモードに共通する画質傾向なのかもしれない。
MPEG-2モードで撮影した映像の印象を付け加えると、精細さはややソフトに感じられた。ディテール感も十分でスムーズでより見やすくなった印象だ。輪郭の再現が穏やかでノイズ感も目立たないため、こちらの方が好ましいと感じる人も少なくないだろう。
感想としては、画作りの巧みさに関心させられた。忠実感から逸脱しない範囲で、絶妙なコントラスト感や鮮やかな色をのせており、見ていて楽しい映像に仕上げている。ボディの持ちやすさや操作性の高さも気に入った。