このページの本文へ

高速処理とプラグインの採用でプロ向けソフトとしての地歩を固める

APR: Aperture 2.1

2008年08月25日 18時00分更新

文● 斎賀和彦

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

新世代処理エンジンで高品質な画像処理を実現

 最も重要なのは、RAW現像の際の画質だ。Apertureの核といえる現像エンジンは、Leopardが搭載するアップルの次世代RAW画像処理エンジンを採用している。その具体的な効果は、ダイナミックレンジの拡大、色再現性の忠実度が向上、シャドー部の再現、ノイズの低減、ハイライト部の復元──などが挙げられる。

 実際にバージョン1.5と2で処理を比較してみると、わずかな差ではあるものの、バージョン2では暗部の階調性やハイライトのディテールがしっかりと再現されていることに気づく。デジタル一眼レフカメラのCMOSが搭載する潜在的な情報量は、まだまだ大きいことを実感する。

 強化された画像処理エンジンを生かして、調整ツールもまた高機能化と高品質化が実現した。失われているように見えたハイライト部の白トビをRAWから復元する復旧コントロール、スキントーン(肌色)への影響を与えることなく彩度をコントロールするバイブランス──などの高品質な画像処理機能が新たに多数搭載されたのだ。

 復旧

APR: Aperture 2

逆光気味になると白トビした個所(この写真ではカーテン部分)ができてしまうが、RAWではそのハイライト情報が残っていることも多い。「復旧」バーを調整することで、失われたように見えたハイライト情報を復旧させられる

 バイブランス

APR: Aperture 2

バイブランスはスキントーン(肌色)に影響を与えずに彩度をコントロールする機能。鮮やかさを強調するために彩度を上げると、女性の顔などは印象が変わってしまう。バイブランスの調整だけで自然な印象に調整できる

 これらの調整は非破壊編集と呼ばれており、元のファイルを加工することなくデータを生成して編集する方法だ。どれだけバリエーションを制作しても、増加する容量は数%にすぎず、これもまたApertureの大きな利点といえるだろう。

 ビネット

APR: Aperture 2

広角レンズを使った撮影は、ときに周辺光量が不足し、画面の四隅がやや露出アンダーになってしまう。ビネットは本来それを補正する機能だ。逆方向に適用すると周辺が締まった独特の味を出せ、ひとつのエフェクトとしても使える

 レタッチ

APR: Aperture 2

レタッチツールは、映り込んだゴミやCCD/CMOSに付着したホコリによるデータの汚れを修復する機能だ。図のように自然なかたちでオブジェクトを消去する画像処理にも使える

 色調整

APR: Aperture 2

カラーを使い、調整の及ぶ範囲を特定の色域に限定して色補正できる。範囲の選択や境界線の自然な処理など、Apertureの使いやすさはほかのソフトをしのぐほど簡単で高品質だ

APR: Aperture 2

範囲を限定した色を調整するパラメーターは、輝度や彩度のみならず色相の調整も可能。そのため、クルマや服の色のみを変えると言った大胆なエフェクトも容易に実行できる


(次ページに続く)

カテゴリートップへ

ASCII.jp RSS2.0 配信中