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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第30回

「権利のインフレ」が表現を窒息させる

2008年08月19日 09時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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「ストリートビュー」の引き起こした騒動


 グーグルの新しいサービス「ストリートビュー」が今月から日本でも始まり、いろいろな論議を呼んでいる(関連記事)。

ストリートビュー
ストリートビューでアスキー・メディアワークスが入っているビルの前を表示したところ

 これは「Googleマップ」に出ている街路をクリックすると、その通りを歩いているように風景が見えるというもので、日本では今のところ10都市が対象になっている。特に首都圏は、千葉市から藤沢市まで広い範囲にわたってくまなくカバーされ、通行人や看板の文字まで鮮明に表示される。

 このサービスが世界各地でいろいろな反響を呼んでいる。普通に使えば、ニューヨークの街路をウェブ上で散歩できるし、京都の観光地も360度のパノラマで見ることができる。東京のわかりにくい道も、これを使えばどこにどのビルがあるのか確認できて便利だ。

 ところが、米国ではこれを「プライバシーの侵害だ」とする訴訟が起こり、日本では「日本家屋の塀は低いので家の中が丸見えだ」という批判が出た。個人情報保護法に配慮して、日本では人の顔や車のナンバーなどは消されているが、「サービスをやめろ」という意見まである。



「プライバシー権」は他人の表現を支配する権利


 かつて住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)についてプライバシー権の侵害だという訴訟がたくさん起されたが、今年3月、最高裁は住基ネットを合憲とする判決を下した。これによって、「プライバシー権は基本的人権だ」という主張は、日本では法的に否定されたことになる。

 したがって住所氏名まで法規制の対象にした個人情報保護法にも問題がある。その第23条では「本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」と定め、他人の表現を支配する権利を認めているからだ。この結果、企業でUSBメモリやハードディスクの使用が禁止されるなど「官製不況」の原因になっていることは、このコラムでも書いたとおりだ。

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