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山谷剛史の「中国IT小話」 ― 第29回

北京・ハイテク五輪の代名詞「TD-SCDMA」の本当のところ

2008年08月07日 09時00分更新

文● 山谷剛史

狼少年的な位置付けになりつつある中国独自規格


 「中国発の規格」という触れ込みに、中国のハイテクトレンドに詳しいインターネット利用者すらも魅力を感じていないのには理由がある。

 ここ数年華々しくデビューした中国発の規格は、発表時には大々的にアピールされていても、ある規格の製品は全く売れず、ある規格は製品化すらされず、ある規格は研究者の怠慢で頓挫、ある規格は捏造と、中国の消費者の期待をことごとく裏切ってきた。

 そのためか中国独自規格に関する中国メディアのニュースを見ていると「雷は鳴るのに雨は降らず」と皮肉る言葉を良く見かけるようになった。

EVD
「中国独自技術」の期待を裏切った規格のひとつEVD

 先に紹介したEVDは、日本の新聞社サイトでも取り上げられるほど、華やかなデビューを飾ったが、現実はまったく売れなかった。

CBHDの報道
EVDはブルーレイやHDDVDを駆逐するか、というアンケート結果。そのほとんどがEVDを支持するが……

 EVDとは別に中国ではそろそろ、HD DVDに海賊版対策など中国の国情を加味した中国版HD DVDこと「CBHD」がデビューする。この規格発表会はEVDのそれとそう変わらないのに、二の轍を踏むと思われているのだろうか、中国の消費者の反応はあまりに冷ややかだった。

CBHD
中国メディアのCBHDの記者発表会レポートの記事

 メディアの対応も冷ややかで、中国メディアはEVDの発表会ほどCBHDを取り上げていない。日本メディアもEVDについてはニュースにしたのに、CBHDの発表会についてはほとんどがスルーだ。

 TD-SCDMAは中国が独自規格開発をアピールするようになってから、ずっと注目されていた、中国の科学技術ビジネスの代名詞的な規格で、最もコケてはならない、消費者に受け入れられなければ困る規格であろう。TD-SCDMAが転ぶとなれば、中国の消費者が、中国の独自規格に抱く期待は地に落ちてしまいそうだ。

■関連サイト


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影
著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」(http://blogmag.ascii.jp/china/)も絶賛更新中


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