人の生死に関わる一大プロジェクトの苦労
首都圏外郭放水路は、「中川・綾瀬川流域の総合治水対策」という大きなプロジェクトの一環だ。実際には、首都圏外郭放水路だけでなく、河川の改修や地域と協力して浸水対策を行なっているという。一とおり施設を見学した後、首都圏外郭放水路管理支所長の植松福一さんに施設運用管理について聞いた。
「都市化が年々進んでいることもあり、首都圏外郭放水路だけで浸水対策はできません。そこで、大雨のときにいったんグラウンドに雨水を溜めておけるように、小中学校のグラウンドを1段低く作ってもらったり、家庭でも雨水を下水に直接流さずにいったん地下に浸透させてもらったり、地域や住民にご協力いただいています」
植松さんは、首都圏外郭放水路の運用、維持管理を担当している。地域や住民の被害や、時として人の生死をも左右する仕事だ。そこには、相当なプレッシャーと苦労があることだろう。
「ある程度予想はできますが、洪水はいつ起こるか分からない災害です。そのため、常に施設を稼動できる状態にしておくことが、大切な業務になります。定期的に行なう試運転や点検の作業は、気が抜けないですね。また、設備だけでなく、人的にも常に稼動できる状態にしておかなければなりません。職員3人でシフトを組んでいますが、24時間いつでも誰かが駆けつけられるようにしています。特に今年のように集中的な大雨が多いと、毎日のように対応する必要があり、大変です」
(次ページ、「湿気が敵! 過酷な状況下でのコンピュータ利用」へ続く)
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