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キャリア・ピックアップ 第59回

地下巨大施設! プロジェクトは成功した

2008年08月15日 04時00分更新

文● 稲垣章(大空出版)

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人の生死に関わる一大プロジェクトの苦労

 首都圏外郭放水路は、「中川・綾瀬川流域の総合治水対策」という大きなプロジェクトの一環だ。実際には、首都圏外郭放水路だけでなく、河川の改修や地域と協力して浸水対策を行なっているという。一とおり施設を見学した後、首都圏外郭放水路管理支所長の植松福一さんに施設運用管理について聞いた。

植松福一さん。国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所 首都圏外郭放水路管理支所 支所長

「都市化が年々進んでいることもあり、首都圏外郭放水路だけで浸水対策はできません。そこで、大雨のときにいったんグラウンドに雨水を溜めておけるように、小中学校のグラウンドを1段低く作ってもらったり、家庭でも雨水を下水に直接流さずにいったん地下に浸透させてもらったり、地域や住民にご協力いただいています」

 植松さんは、首都圏外郭放水路の運用、維持管理を担当している。地域や住民の被害や、時として人の生死をも左右する仕事だ。そこには、相当なプレッシャーと苦労があることだろう。

「ある程度予想はできますが、洪水はいつ起こるか分からない災害です。そのため、常に施設を稼動できる状態にしておくことが、大切な業務になります。定期的に行なう試運転や点検の作業は、気が抜けないですね。また、設備だけでなく、人的にも常に稼動できる状態にしておかなければなりません。職員3人でシフトを組んでいますが、24時間いつでも誰かが駆けつけられるようにしています。特に今年のように集中的な大雨が多いと、毎日のように対応する必要があり、大変です」

植松さんへの取材は、首都圏外郭放水路の監視・コントロール室である「排水機場」で行なった。この部屋はウルトラマンの撮影などにも使われたそうだ

首都圏外郭放水路

施設の各部のようすをモニターで確認できる

首都圏外郭放水路

河川情報もリアルタイムで表示される

(次ページ、「湿気が敵! 過酷な状況下でのコンピュータ利用」へ続く)

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