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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第8回

「一冊の本を目指した」癒やしのあるノート LaVie N

2008年08月05日 15時00分更新

文● インタビュー●西田 宗千佳、構成●小西利明/トレンド編集部

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13インチクラスというバランス

時々持ち運ぶ程度なら、それほど苦にならない程度

薄さや軽さを追求した製品ではないが、時々持ち運ぶ程度なら、それほど苦にならない程度にまとめられている

――パソコンと言うと、中身もやはり大切です。特にある程度持ち運ぶことを考えると、大きさや重量、バッテリー駆動時間といった要素がポイントになってくる。

 そこでどう辺りを狙うのかという点が、商品企画のポイントになると思います。今回のLaVie Nで狙った線は、通常のモバイルノートとはまた違うものですよね。どのような考えで、このスペックにまとめたのでしょうか。

情野:まず「コンパクトサイズ」ということで、ディスプレーサイズは「13インチか14インチか」という議論がありました。

 14は15とあまり変わらなくて、「単に安いモデル」というイメージが強い。12インチでは小さすぎる。13インチクラスというのはちょうどその間に来て、コンパクトさも出るのではないかと選びました。

 なるべく薄く軽くということはあるけれど、それを追求しすぎて高くなっては売れなくなる。そこを外さないように価格とコンパクトさを探っていって、このサイズになりました。とはいっても、中はぎっしり詰まって隙間がないようになっています。

 重さも2kgをターゲットにしていて、最初の頃は「難しいんじゃない?」と言われてましたが、開発の方に頑張ってもらって実現しました。2kgとほぼA4サイズ、女性の鞄にギリギリ入るサイズで、持ったときにもあまりかさばらないところにできました。

ディスプレーサイズは『13インチか14インチか』という議論がありました

「ディスプレーサイズは『13インチか14インチか』という議論がありました」(情野氏)

――実際このサイズって、私はもっと一般性のある、広く使えるサイズだと思っています。机の上で邪魔にならない最大のサイズで、しかも操作性が悪くならない最小のサイズであると。しかも安く作れるギリギリのサイズでもある。

 日本のモバイルノートユーザーでは、「B5で1kg切ってないとモバイルとは言わない」という方が多いのですが、むしろ一般の方のイメージからすると、これくらいのサイズが使いやすいサイズなんじゃないかという印象があるのですが。

情野:そう思いますね。

――そうすると、このサイズはかなり、ある程度モバイルを意識したユーザーに対してアピール力のあるものだと。毎日持ち運ぶかどうかはともかく。

情野:毎日は難しいと思うのですが、時々ちょっと持っていきたくなるような、そういうイメージが持てるようにという意識はしました。

 実際に持っていっても、モバイルノートよりは重いですが、持っていけるなと実感できるのではないでしょうか。

――その点では、でっぱりの少ないデザインというのも、持ち運べそうな印象に対してプラスになっていると思います。それはデザイン面でも意識されましたか。

鈴木:鞄に入れるとなると、あまりエッジの立ったものは入れたくないですよね。それと、角の取れた形状の方が持ちやすい感じがしますし。


残る課題は……キーボード?

残る課題を問われて、苦笑する情野氏

残る課題を問われて、苦笑する情野氏。鈴木氏はキーボードの色も変えたいと述べる

――LaVie Nは商品化にこぎつけましたが、現状での満足度を採点すると、どのくらいになりますか。やり尽くした感じというか。

情野:難しいですね(笑)。やり尽くした感は少しはあるのですが……。

鈴木:デザインの側からでは、キーボードをそろそろ変えたいなと思っています。

情野:何回か文字の色を変えたものを見せてもらいました。最初はピンクはピンクの、モカはモカ系の色にしたキーをやってみたのですが、さすがにそこまでは難しいということで断念しました。

――最近ではデザイン重視という面から、パネルの下からキーが出ているような形状のキーボードを採用するメーカーもあります。キーの形状は、最初からこれでいくと決めていたんでしょうか。

情野:やはり使いやすさも大事です。キーボードはNECのこだわりのひとつでもあるので、そこはきちんと打てるものを維持したい。

 デザイン上は、他社のものにも優れている点があるのは分かるのですが、そこは使いやすさと安心感を維持したかった。

 新しいキーボードを作るのって、難しくてすごく時間がかかるんです。これは次の課題だと思っています。ここまでやれてきたので、次はそういう面を課題にしようと。

――こういう凝ったデザインが出てきて、それをお客様に評価していただけるということになれば、そうした突き詰める作業というのも、さらにやりやすくはなりますね。

情野:すぐには難しいでしょうが、やってみたいところですね。


筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。 得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。


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