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米国IT事情を探る

「Vistaは使いにくい」は、真実なのか

2008年08月04日 22時18分更新

文● 遠竹智寿子

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一番影響された人間、それは筆者かも知れない


 マイクロソフトにしてみれば、わらをもつかむ気持ちで、このPRを思いついたのだろう。実際に使う前に、口コミやいろいろな理由で、見向きもされなくなったWindows Vistaを、何とかして、評価の土台に載せるようにしたい。とにかく使わせる動機付けをしたい。そんな風に考えたのではないだろうか。

 「まずは話を聞いてほしい」「自分で体験してほしい」「小さくてもすごい機能があるから」──という低姿勢のアプローチには、何となく好感が持てる。しかし、これも巧みな心理を利用した戦略なのかもしれない。

 少なくともこれだけを見て、みんなが「Vistaがいい」と感じてしまうようでは、新たな思い込みが生まれるだけだろう。

 実際、このPRを否定するジャッジ記事もアメリカでは出てきている。実験の様子をビデオ撮影された参加者は140人中120人。だがサイトに登場するのは55コマで、その中の何人かは同一人物だ。このことを掘り下げて、このテスト結果を大げさに扱うことに懐疑的な姿勢を見せる記事だ。

 このジャッジ記事にさらに反論するならば、マイクロソフトのプロモーションに、表情豊かにVistaへの驚きを表現してくれたカットを利用するのはあたり前だろう。また、120人をビデオ撮影したからといって、全員が顔を出すことを許諾するとは思えないのだが……。

 最後に参加者たちのコメントをくまなくチェックした私が思わず、Vista搭載のノートパソコンを触りまくってしまったことを付け加える。もしマイクロソフトがここまで考えていたのならすごい。


筆者紹介-遠竹智寿子

 外資系コンピュータメーカーのマーケティング部、広報部の勤務経験を経てフリーランスとして独立。ITジャーナリストとして調査、記事執筆を手掛ける一方で、企業向けコンテンツ企画やマーケティング調査などを手がける。 また、コミュニケーションスキルやIT・英語教育分野における研究、事業活動も行っている。現在、 月刊asciiに『マインドマップ「超」仕事術]『深化するCSR』を、アスキービジネスに『ビジネスマインドエッセンス』を連載中。

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