塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第12回
塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”
愛はあふれるもの
2008年08月10日 15時00分更新
他人の表現にコメントするのはギブのひとつだけれども、もっと自分らしいアウトプットができれば最高だ。そのため、自分がギブする側に立った今、最大の焦点となるのは、「自分が何をギブするか」である。
「どうやってギブするか」という「How」は、どんどん簡単になってきている。Macに搭載されているアプリケーションやウェブ上のサービスを使えばたいして難しいことはないし、その解説だってあちこちに見つけられる。問題は「What」だ。何をギブするか。
大学教育の核心もここにある。18年間、学習によるインプットを続け、親や先生の愛を受けて育ってきた学生たちに対して、教師はアウトプットの面白さと意義を伝え、彼ら自身が社会にアウトプットする喜びを自分で見つけるアシストをするのだ。
受けて来た愛が足りなくてうまくギブできない学生がいたら、愛を注ぐところから始める。そのうえで、彼らが自分ならではのギブをする価値を見い出し、それを自ら社会にギブできるように応援するのだ。「education」とは、「相手が持っているチカラを引き出す」、という意味なのだから。
筆者紹介─塩澤一洋
「難しいことをやさしくするのが学者の役目、それを面白くするのが教師の役目」がモットーの成蹊大学法学部教授。専門は民法や著作権法などの法律学。表現を追求する過程でMacと出会い、六法全書とともに欠かせぬツールに。2年間、アップルのお膝元であるシリコンバレーに滞在。アップルを生で感じた経験などを生かして、現在の「大公開時代」を説く。
(MacPeople 2007年6月号より転載)
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