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2008年07月25日更新

中国経済~経済予備校・番外編~

AQUOSケータイから見た中国ビジネス

文●山谷剛史

経済予備校

第4回「経済予備校」では、中国ビジネスを分析する。しかし、昨今中国ビジネス本はすでにさまざまな有識者、中国駐在員から出版され、さまざまなメディアでも語られているため、今回は、中国在住で海外IT事情に強い山谷剛史氏が「ケータイから見た中国」というテーマで解説する。

月収2カ月分でケータイを買う中国

 先月(6月)にシャープは、6月中にAQUOSケータイを中国向けにリリースすることを発表した。中国向けのAQUOSケータイは名ばかりではなく、日本のAQUOSケータイをベースに若干手直ししただけの製品であり、名実ともにAQUOSケータイの中国での販売だ。

 6月末、シャープはその発表どおり「9010C」という製品を発売した。中国最大のオンラインショッピングサイトで、C2Cサイト(個人間取引)でもある「淘宝網(Taobao)」では、この製品が4700元前後、日本円にして7万円強で販売されているのが確認できる。都市部の20代の月収がだいたい3万円、上海や北京の若いサラリーマンでも月収5万円あれば御の字なので、そう考えれば、アクオスケータイは月収2カ月分にも相当し、果たしてこれが売れるのか、という金額だ。

中国経済 淘宝網で販売される中国向けAQUOSケータイ

 ちなみにここで紹介した淘宝網とは、個人が無料で出店できるショッピングサイト(だからB2CではなくC2Cだ)で、日本で言えば出店料不要の楽天市場のようなもの。一般論として日本人は職人気質でありモノ作りにこだわりがあると言われているのに対し、中国人は商人気質でありモノを右から左に流して利益を得ることが好きであることから、多くの中国人利用者が淘宝網で店のオーナーとなり、さまざまな商品を販売している。

日本のケータイが人気の実情

 淘宝網は日本にも進出するB2B取引(企業間取引)サイトの「アリババ」とは兄弟会社の関係にあり、淘宝網とアリババの親会社である「アリババホールディングス」の子会社である。アリババホールディングスのCEOである「馬雲(ユン・マー)」氏は、検索サイトの雄「百度」のCEO「李彦宏(ロビン・リー)」氏と並んで、中国では最も有名なIT事業家である。ちなみにアリババホールディングスとソフトバンクは蜜月の関係にあり、ソフトバンクがアリババホールディングスの主要株主となっている一方で、馬雲氏はソフトバンクの社外取締役となっている。

経済予備校
日本向けAQUOSケータイが淘宝網で販売される

 なんでAQUOSケータイの話題で淘宝網の話に入ってしまったかというと訳がある。シャープがAQUOSケータイの発売を発表する前から、淘宝網において、日本で発売されているAQUOSケータイが多数販売されていたのだ。淘宝網では、日本のケータイの中でも、特にシャープのケータイが特に出品数が多いが、シャープ製のもの以外でも、NEC製や富士通製のもの、ソニーエリクソン製など、どのメーカーの日本製品も中国で販売されている。値段も今回シャープから発表された、中国国内向けAQUOSケータイより若干安い程度なので、いずれにしろ普通の若者の月収の数倍で発売されていた。

 中国では、日本のケータイが、知る人ぞ知るケータイとして知られている。日本に長く滞在した中国人ならなおのこと、一度日本のケータイを所持したら中国向け(世界向け)のケータイを持ちたくなくなるという。そうした人が口コミで周囲に日本のケータイの良さを伝えたことから、日本のケータイを知った人は「日本のケータイが欲しい!」と思うわけだ。

 統計調査も紹介すると、中国で一番有名なIT系ニュースサイト「太平洋電脳網」の調査によれば、同サイトの利用者を対象にした調査で、シャープはケータイメーカー人気ランキングでベスト10に入った。元々シャープは中国市場に進出してはいたが、液晶テレビのAQUOSは販売していても、中国でケータイを発売していなかった。それにも関わらずの人気なのだ。ちなみに同じく中国ではまだケータイを販売していないアップルも、iPhone人気でベスト10入りしている。

(次ページ、「これまでの日本のメーカーの敗因」へ続く)

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