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表現は「動」

2008年07月27日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ



 一方、少ない情報を少しずつ付け足していくと、聴衆が話の進展を追うには、画面の中で変化した場所だけ見ていればいい。画面が変化する頻度が高まると、凝ったアニメーションなど使わなくても常に動きのあるスライドになる。加えて、注目してほしい情報をタイムリーに小出しにするから、レーザーポインターも不要だ。実際ジョブズは、ポインターの類を一切使わない。

 このように、語り方や画面構成といったカタチを動的にする一方、プレゼンの中身も「動」で表現したい。抽象と具体、原則と例外、理論と応用、結論と論理など、話題を動的に展開するのだ。今回の基調講演の趣旨はアップルそのものの変化にあった。まさに内容の「動」である。

 大公開時代は「動」の時代だ。ブログ、ポッドキャスト、SNS、RSSといった動的な仕組みが、表現やコミュニケーションの在り方を変えた。それにともなって、いままで静的にとらえていたものを動的にとらえ直すと、新たな魅力が見えてくる。静的なプレゼンを「動」の視点で組み立てると、断然魅力的なパフォーマンスになるのはその一例だし、静的な写真がiPhotoのスライドショーで格段に格好よくなるのも好例だ。

 みんなが自分の表現を少しずつ継続的に公開する時代。表現の魅力を大きく引き出すチカラの源は「動」である。


筆者紹介─塩澤一洋


著者近影

「難しいことをやさしくするのが学者の役目、それを面白くするのが教師の役目」がモットーの成蹊大学法学部教授。専門は民法や著作権法などの法律学。表現を追求する過程でMacと出会い、六法全書とともに欠かせぬツールに。2年間、アップルのお膝元であるシリコンバレーに滞在。アップルを生で感じた経験などを生かして、現在の「大公開時代」を説く。



(MacPeople 2007年4月号より転載)


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