塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第10回
塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”
表現は「動」
2008年07月27日 15時00分更新
変化があるから人は注目する。変化を見逃すまいと注意を向け、ひとつの変化が興味深いと次の変化への期待も膨らむ。変化が期待通りだったり期待を裏切ったりすることで、さらに注目される。変化が人を引きつけるのだ。継続的な変化の魅力、すなわち動的な魅力である。
私自身、講義をするときにはさまざまな工夫をしている。学生たちを90分間、あるいは180分間にわたって講義に引きつけ続けるのが教師の仕事だからだ。その工夫をひと言で表現すれば、やはりそれは「動」である。
講義もプレゼンも、決められた時間で聴衆にメッセージを的確に伝えるために行う。聴衆の興味を引きつけるために、いかにして動的に、ダイナミックに演出していくか。それがプレゼンの魅力を喚起するキーだ。静的なプレゼンは退屈というもの。では、「動」のプレゼンを実践するにはどうすればいいだろう。
プレゼンを動的にしようとして真っ先に思いつくのは、スライド画面の動きだろう。つまりスライドとスライドをつなぐトランジション(画面転換)をカッコよく味つけすることだ。「Microsoft PowerPoint」には何種類ものトランジションが搭載されているし、アップルのKeynoteなら三次元的な動きをする派手なトランジションも簡単に使える。
でも、プレゼンの「動」はそんな小手先のワザではない。トランジションが派手になると、そればかりが目立ち、かえってその間に映写されているスライド自体の「静」が目立ってしまうことにもなる。
(次ページに続く)
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