コミケ・ワンフェス直前対策!「俺」流コスプレ撮影術
カット#03 レイヤーさんにモテるデジタル一眼撮影の基礎
2008年07月28日 22時00分更新
シャッタースピード優先か絞り優先を使って撮るのが男だろ?
さてここでカメラの基本となる、シャッタースピードと絞りの説明をしておこう。
ご存知の通り、カメラは適切な量の光をフィルムや撮像素子に当てて撮影する。それを調整するのが、レンズに入る光の量を調整する“絞り”と、撮像素子にどのぐらいの時間光を当てるかを調整する“シャッタースピード”だ。
撮像素子に当てる光の量が多すぎると写真全体が白くなってしまい、“露出オーバー”という状態になる。逆に光が少なすぎると写真全体が真っ暗になり“露出アンダー”になる。適量の場合は、”適正露出”の写真になる。撮像素子は、光を感知するセンサーだが、誤解を恐れずに言うならば光を一時的に溜めておく機器といってもいいだろう。
これは身近な水道の蛇口と同じイメージ。蛇口が絞りで、水を出している時間がシャッタースピード、コップ1杯の水が撮像素子の適正露出だと考えるとわかりやすい。
蛇口を全開にすれば、数秒でちょうどコップ1杯の水が注げる。10秒も蛇口を開いていたらコップから水はあふれ露出オーバーの状態だ。蛇口をすぐに閉めてしまうと、コップ半分の水しか溜まらず露出アンダーな状態。
蛇口を絞ると、流れ出す水は少なくなるなるので、それだけ長時間蛇口を開いていないとコップに水がたまらない。
さてカメラの話に戻ろう。レンズに入る光の量を調整する絞りは、次のように表される。
1.4 | 2.8 | 4.0 | 5.6 | 8 | 11 | 16 | 22 | 32 |
絞りはレンズ側についている機能なので、手持ちのレンズによって開放時の明るさが異なるが、大体4.0あたりだろう。またカメラでは、それぞれの絞りの間にもっと細かく絞りを調節できるようになっている。
注意すべきは、値が小さければ小さいほどたくさんの光を取り入れられという点だ。これは頭に叩き込んで欲しい。
さてシャッタースピードは、カメラ本体についている機能で、撮像素子の前についている暗幕(=シャッター)を開けている時間を調整する。
1/15秒 | 1/30秒 | 1/60秒 | 1/125秒 | 1/250秒 | 1/500秒 | 1/1000秒 |
カメラではもっと長い時間や短い時間のシャッタースピードを設定できるほか、それぞれの間をもっと細かく指定できるだろう。
この絞りとシャッタースピードで露出は決まる。
たとえば絞りが2.0、シャッタースピードが1/125秒で適正露出の場合、水の場合で言えば蛇口全開の場合だ。非常に綺麗な写真が撮れるだろう。しかし、絞りを思い切り絞って22として、そのぶん1/2秒と長い間シャッターを開けてやっても、非常に綺麗な写真が撮れるのだ。
そして絞りには、もうひとつの大切な機能がある。
絞りはピントが合う奥行きを決めるもの!
専門的には“被写界深度”というが、ピントの奥行きのことである。
絞りを開けば開くほどピントの合っている部分以外の背景や全景がボケるようになる(とくに望遠レンズ時)。逆に絞れば絞るほど背景から全景にまでピントが合うようになる。
絞り込むとどこまでピントが合うかは、実際に撮影した画像をプレビューすることで確かめられるが、液晶が小さなカメラの場合は、ボディについている“絞り込みボタン”を押すと、レンズの絞りが設定値まで絞り込まれ、ファインダーでどこまでピントがあっているかを確認できる。
さて絞りとシャッタースピードとの関係が分かったところで、絞り優先モードと、シャッタースピード優先モードの使い分けをどうしたらいいかという迷いどころを解決していこう。
絞り優先の使いどころ
筆者のようにコスプレ撮影の記事を掲載する場合、面倒なのはバックに写りこんでいる他のレイヤーさんや魑魅魍魎だ。顔がばれてしまうのとまずいので、掲載時にはぼかしを入れるが、撮影時の段階でぼかしてしまえば、レタッチの手間が省ける(笑)。
このようにレイヤーさんをメインに背景をぼかしたい場合に使うのが、絞り優先モードだ。超広角レンズは、レンズ自体からピントが奥まで合うという特性があるので、絞りを全開にして撮影する。
また今回のコミケでは、コスプレ広場がレストラン街園庭なので、レイヤーさんの背景にビッグサイトの特徴である逆三角形の屋根までピントを合わせたい場合などは、絞りを11~16辺りまで絞り込むといいだろう。
なお絞り優先モードでは、シャッタースピードがカメラ任せになってしまうため、ストロボを使用する場合には、シンクロ速度(これについては、次回説明しよう)を越えないよに目を光らせて欲しい。
シャッタースピード優先の使いどころ
とにかくデジタル一眼になれてないという場合は、シャッタースピード優先で撮影するといい。“カット02”で「手ブレしないシャッタースピードの限界を知ろう」といっていたのは、ここへの布石だった。
カメラをしっかりホールディングできる姿勢を身につければ、1/125秒ぐらいでもブレずに撮れるはずだ。プロになると1/15秒以下のスローシャッターでもビシッ!っと止まって写るがさすがに、そこまで練習するのは酷。1/125秒でもちょっと心配という人は、1/160~1/200秒に設定するといい。また手ブレ防止機能つきレンズなら、1/125秒でブレることはまずない。
絞りはカメラ任せになってしまうが、家に帰って写真を見てみたらほとんどブレてたなんてことはなくなるのが魅力だ。
また先にも登場したストロボのシンクロ速度の限界も、たいていが1/200秒前後だ。ストロボ撮影のときにもシャッタースピード優先で撮影するといい。
さらにレイヤーさんの動きを収めたい場合にも、シャッタースピード優先が役に立つ。
このような動きを撮影する場合は、だいたい1/60秒に指定すると、顔はブレずに動いている部分だけブレた写真になる。またロングスカートのレイヤーさんにターンしてもらうと、遠心力でスカートが膨らんで、ちょっと違ったイメージのコスチュームが切り取れるのだ。スカートをブラすなら1/60秒で、スカートをブラさないなら1/250秒が目安だ。
シャッタースピードと絞りに大きく影響するISO感度の設定も重要だ。ISO感度は、フィルム(撮像素子)感度の設定だ。
ISO感度 | 使うシーン |
100 | コスプレ撮影ではあまり使わない。高額な明るいレンズを持っているなら結構使えるモードだ |
200 | ピーカンならこのぐらいが目安 |
400 | うす曇りや木陰ならこのぐらいが目安 |
800 | 完全に影になってしまう場合などで、絞りを開放にしてもシャッタースピードが1/125を切ってしまう場合などに使う。若干粒子が荒れてくる |
1600 | 薄暗い屋内でストロボを使わずに撮影する場合。かなり粒子があれるので余りオススメできない |
シャッタースピード優先にして、絞りを開放にしてもまだ光量が足りない場合などは、ファインダー内の表示が点滅したり、シャッターが切れない場合がある。こんなときはISO感度を200→400→800と上げていくといいだろう。
今回の夏のコミケは、ひなたと日陰がまばらになっているので、積極的にISO感度を変える必要もありそうだ。
(次ページへ続く)
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