このページの本文へ

西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第7回

type Z 解体天国:妥協なきモバイルの真髄(後編)

2008年07月17日 16時09分更新

文● インタビュー●西田 宗千佳、構成●小西利明/トレンド編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

type Zのマザーボードと冷却機構。サイズが決めうちされたパーツの多いノートパソコンの中で、設計者の努力でサイズを縮小できるのはこれくらいしかないという


DDR3とハイブリッドグラフィックスで
さらなるバッテリー性能を

――バッテリー駆動時間をここまで延ばす工夫というのも、非常に重要かと思います。今回の工夫のポイントはなんでしょうか。

宮入 まずはDDR3メモリーを採用したこと。これは1066MHzで動かしても、1.5V駆動なので消費電力を減らせています。

type Zで初めて採用したDDR3メモリー

type Zで初めて採用したDDR3メモリー。動作電圧が低いため、高クロック動作ながら低消費電力という特徴を持つ優秀なメモリー

宮入 もう1点が、通常電圧版のCPUでもTDP 25WのCPUを採用したこと。これらがデバイスでの効果ですね。

 スタミナに貢献しているという点では、我々が一番苦労したのはハイブリッドグラフィックスですね。グラフィックス性能が欲しいときには、スイッチを「SPEED」モードに切り替える。持ち歩くときは「STAMINA」に切り替える。しかも再起動することなく、机から持ち運ぶときにはスタミナに切り替えて持っていける。

 2つのGPUと、2系統のディスプレイ出力を切り替えるだけでなく、チップセット内蔵GPUを使うスタミナモードのときには、しっかり長時間動いてもらわなければいけない。

 そこでスタミナモード時は、外付けGPUの電源を落として、完全に眠ってもらっています。

 今までは切替の際に再起動していましたから、そのタイミングで一度電源が落ちます。しかし今回はシステムが動いたまま、GPUがひとつ、電源ごとなくなる。それを実現するために、さまざまなタイミングの調整から始まり、工夫をこらしています。

スタミナモードとスピードモードの切替スイッチ

スタミナモードとスピードモードの切替スイッチ。GPUを動的に切り替えるだけでなく、同時に各種デバイスへの電力供給も切り替える

――相当にローレベルなソフトウェアから作らないとできないですよね。

宮入 そうです。ビデオBIOSから始まって、組み込みマイコンでのパワー制御と連携もとる。さらにその上でドライバーやWindowsとのやり取りなど、非常に綿密に積み上げられています。

――とすると、この仕組みはOSに依存している部分もあるんですか? Vistaのディスプレー出力制御に特化して実装していると。

宮入 OS依存もあります。ですので、XPにダウングレードして使うお客様には申し訳ありませんが、切替時に、再起動していただくことになります。

――率直に言えば、マシンパワーが十分でメモリーも十分搭載しているのであれば、モバイルに関してはXPよりVistaの方がアーキテクチャー的に絶対いいと信じています。ですので、type ZクラスならXPに入れ替える必然性はないかなと思いますね。

 会社ではXPしか認めていない場合もあるので、ビジネスユーザー向けに選択肢だけは用意しておきたいというところですね(編注:法人向けカスタマイズモデルについては、Windows XP Professionalへのダウングレードサービスが提供される)。

宮入 また、今回はGPUだけのスイッチにしていません。「STAMINA」と「SPEED」という名称にしていますが、これはGPUだけでなく、STAMINAに変えたときは光学ドライブの電源も落としています。type Tなどでも同様ですね。

 ほかにもいくつかのデバイス(モデムやi.LINKポートなど)やデスクトップでしか使わないような機能の電源を落とす制御も、このスイッチ切替で行なっています。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン