DDR3とハイブリッドグラフィックスで
さらなるバッテリー性能を
――バッテリー駆動時間をここまで延ばす工夫というのも、非常に重要かと思います。今回の工夫のポイントはなんでしょうか。
宮入 まずはDDR3メモリーを採用したこと。これは1066MHzで動かしても、1.5V駆動なので消費電力を減らせています。
宮入 もう1点が、通常電圧版のCPUでもTDP 25WのCPUを採用したこと。これらがデバイスでの効果ですね。
スタミナに貢献しているという点では、我々が一番苦労したのはハイブリッドグラフィックスですね。グラフィックス性能が欲しいときには、スイッチを「SPEED」モードに切り替える。持ち歩くときは「STAMINA」に切り替える。しかも再起動することなく、机から持ち運ぶときにはスタミナに切り替えて持っていける。
2つのGPUと、2系統のディスプレイ出力を切り替えるだけでなく、チップセット内蔵GPUを使うスタミナモードのときには、しっかり長時間動いてもらわなければいけない。
そこでスタミナモード時は、外付けGPUの電源を落として、完全に眠ってもらっています。
今までは切替の際に再起動していましたから、そのタイミングで一度電源が落ちます。しかし今回はシステムが動いたまま、GPUがひとつ、電源ごとなくなる。それを実現するために、さまざまなタイミングの調整から始まり、工夫をこらしています。
――相当にローレベルなソフトウェアから作らないとできないですよね。
宮入 そうです。ビデオBIOSから始まって、組み込みマイコンでのパワー制御と連携もとる。さらにその上でドライバーやWindowsとのやり取りなど、非常に綿密に積み上げられています。
――とすると、この仕組みはOSに依存している部分もあるんですか? Vistaのディスプレー出力制御に特化して実装していると。
宮入 OS依存もあります。ですので、XPにダウングレードして使うお客様には申し訳ありませんが、切替時に、再起動していただくことになります。
――率直に言えば、マシンパワーが十分でメモリーも十分搭載しているのであれば、モバイルに関してはXPよりVistaの方がアーキテクチャー的に絶対いいと信じています。ですので、type ZクラスならXPに入れ替える必然性はないかなと思いますね。
林 会社ではXPしか認めていない場合もあるので、ビジネスユーザー向けに選択肢だけは用意しておきたいというところですね(編注:法人向けカスタマイズモデルについては、Windows XP Professionalへのダウングレードサービスが提供される)。
宮入 また、今回はGPUだけのスイッチにしていません。「STAMINA」と「SPEED」という名称にしていますが、これはGPUだけでなく、STAMINAに変えたときは光学ドライブの電源も落としています。type Tなどでも同様ですね。
ほかにもいくつかのデバイス(モデムやi.LINKポートなど)やデスクトップでしか使わないような機能の電源を落とす制御も、このスイッチ切替で行なっています。
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