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さらなる機能拡充目指す、ネオジャパンの「Applitus」

「情報共有」の次―グループウェアの進化

2008年07月07日 23時18分更新

文● 小橋川誠己/アスキーネタ帳編集部

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 「グループウェアの導入は一巡した」――6月30日にノークリサーチが発表したレポート「中堅・中小企業のIT投資動向に関する実態と展望調査報告」の中で、同社は現在の国内グループウェア市場をこう分析している。グループウェアの新規導入率(導入を検討中または関心があると答えた企業)が19.2%となり、前年の22.3%に比べてマイナスに転じたためだ。ノークリサーチは「情報共有手段としてのグループウェアは次第に飽和状態に近づいている」と見る(ノークリサーチのPDF資料)。

 こうした状況の中、グループウェアベンダーはどのような次の一手を打つのか。「desknet’s」シリーズを展開する(株)ネオジャパンは、7月2日に開いた製品発表会で1つの方向性を打ち出した。


経営レベルに応える機能拡充をSaaSで実現


ネオジャパン オンデマンド・アプリケーション・サービス・プロジェクト統括取締役の狩野英樹氏

ネオジャパン オンデマンド・アプリケーション・サービス・プロジェクト統括取締役の狩野英樹氏

「グループウェアは、これまで“情報共有ツール”として販売されてきた。スケジューラや掲示板機能で情報を共有し、業務を効率化しようというのが狙いだったが、それ以外にもさまざまなニーズがあることが分かった」。ネオジャパン オンデマンド・アプリケーション・サービス・プロジェクト統括取締役の狩野英樹氏はこう話す。「グループウェアの概念を(情報共有以外にも)広げたい」と言う。

 狩野氏によると、グループウェアに対する「情報共有以外」のニーズとして強いのが、「企業活動可視化ツール」としての役割だという。もう少し分かりやすく言えば、グループウェアに入力したデータを、現場レベルで共有してコミュニケーションを効率化するだけでなく、経営判断や内部統制などの経営レベルにも活用したいというニーズだ。

 そうしたニーズに対して、ネオジャパンは「グループウェアの機能の拡充」で応えていくという。加えて、パッケージソフトではなく、SaaS形態でのサービスによってそれをスピーディーに実現していく。「パッケージでは、さまざまなサーバ環境での動作を保証するため、リリースに時間がかかる。SaaSであれば新製品をすばやく投入できる」(狩野氏)ためだ。

Applitus

Applitusはサービスラインナップを強化してニーズに応える。今月2日には全17種類にアプリケーションが拡充された

Applitus

中小企業向けの経理ワークフローシステム「LiRaku」

 7月2日には、同社のSaaS型アプリケーションサービス「Applitus(アプリタス)」において、新たに6つのアプリケーションの提供を開始した。中核となるグループウェアの基本機能や営業日報、顧客管理など、従来から提供する11種類に加えて、計17種類のアプリケーションの中から、利用するサービスを選べるようになった。

 もっとも、単に種類が増え、選択肢が広がっただけではない。注目されるのは、先に狩野氏が挙げた顧客ニーズ――経営レベルにも情報を活用したい――にフィットする、象徴的な新サービスが加わったことだ。それが、経理ワークフローシステム「desknet’s LiRaku(リラク)」、稟議・日報システム「desknet’s MMM(エムスリー)」の2つ。

 いずれも、ワークフローを基盤としたアプリケーションであり、前者は請求書の発行や経費精算の申請を、後者は稟議書や日報の作成・管理を行なうものだ。両製品ともに、最終的にはデータを会計システムなどの基幹系と連携させて活用するところまでをサポートする。特にMMMに関しては、2008年後半に原価管理の機能が実装される計画で、さらに経営サイドでも活用できるアプリケーションへと進化するという。

 単にスケジュール“だけ”を共有するだけなら(特に小規模な企業においては)、必ずしも有償のグループウェアを導入するのではなく、Googleカレンダーをはじめとする無料のWebサービスでもまかなえる時代に差し掛かっている。もちろん、セキュリティなどの面で商用グループウェアの方が長けているには違いないだろうが、Webサービスもどんどん進化している。いつまでも、両者の差が埋まらないとも限らないだろう。

 そう考えたときに、今回、Applitusで見られたような、企業ならではのニーズに沿った機能――経営レベルを意識した機能――を、速やかに拡充していくことは、グループウェアの進化の方向性の1つとしてあるのかもしれない。

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