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夏休みはアニメ漬け! 7月開始アニメ大特集 第2回

アダルトな雰囲気いっぱいの、ちょっと大人のアニメはいかが?

2008年07月02日 20時00分更新

文● コンテンツ計画

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──実際にみなさんケーキを召し上がられました?

【一同】  はい(笑)

【安野】  ものによっては焼き菓子などこちらで直接購入して、実物を見ながら作業してもらうこともありました。一番最初にみんなで集まって「みんなでがんばりましょう!」って言った時にケーキを用意したので食べてもらいましたね。

スイーツ

【甲藤】  基本的には写真を見て描いていくんですが、やっぱり写真と見た目の色も違いますし、触ってみないと、どういう質感のものなのかもわからないことも多いので、そういうことも理解しながら描いた方がいいですね。

──食品、特にスイーツをクローズアップしている作品っていうのは、これまでにあまりなかったと思うのですが、いかがですか?

スイーツ

【安野】  今回、タイトルにもあるようにカッコイイ男の子とケーキが織りなす物語……と言われているので、ケーキも美味しくしたいなと思っています。放送時間帯も深夜枠になるので、観た後にコンビニなどに行きたくなるようなケーキを作りたいっていうのは、監督が言っていましたね。 「そういう風に見せられるような映像ができればいいな」って(笑)。 アニメでは食品をクローズアップしたものを見かけたことは……確かにあまりないですね。

【甲藤】  「ミスター味っ子」とか、ホントに食べるものを視点とした「美味しんぼ」とか。 今回、原作のよしなが先生がケーキにすごいこだわりを持って描いていらっしゃったようなので、そういうところも出せたらいいですね。

スイーツ

【安野】  伺った話だと、よしなが先生はケーキの色を決めてから扉絵を描いてることもあるそうなんです。ケーキが映えるように色をつけてからそれに合わせて全体の色を微調整する場合もあるっていうぐらいケーキにこだわりがあるみたいですね。 ケーキの完成図もよしなが先生や鎧塚シェフにもお渡しして見ていただくと、こことここが欲しいっていうご指示がくるぐらいなので、今回はその流れできっちりやりましょうっていう形になっていると思いますね。

──背景の違いなども意識しながら色を決めたりされているんでしょうか? それともケーキがこの色だから背景はこれでという感じですか?

【中尾】  一応、背景に入って逆に浮きすぎるのも困るので、ある程度落ち着いて、なおかつその中でケーキに目がいくようにということには気をつけています。

──そうすると全体のバランスを考えて、背景や色を設定していくのは難しいんですね。

【安野】  実物とアニメの全体のイメージとどっちを取ればいいのかっていう時もたまにありますね(笑)

──エフェクトのところではいかがですか?

スイーツ

【西山】  撮影的な仕事では、仕上げさんにここまで作ってもらっています(ジャン・ピエールの絵を見ながら)。 黒いところ「光学を増す」って書いてありますが、要するにここを光らせてくれってことなんです。こういうところに光っている感じをのせていくのが撮影の仕事ですね。 何が大変かといえば、手描きのものをリアルにしていく方向でエフェクトをつけているんですが、今回本編の方の背景を白組さんがやってくれているんですよ。白組さんがフルCGで作った背景ってめちゃめちゃリアルなんですね。それをエフェクトその他で手描きの質感に落とし込んでいくんです。 それと、こちらの手描きで書いたスイーツをいかに撮影とエフェクトでフォト・リアル側に引き上げていくか……両者の間でちょうど合ったところが見つかればピッタリマッチする、そこを探し込むのがすごく大変ですね。 浮かないような映像を作るということはたぶんそういうことなんだと思います。

──ケーキを食べるシーンもあるんですか? そうすると、切った絵なども作らなければならないんですよね?

【安野】  シュークリームは断面で出てきたりするので、切った絵も描いてもらっています。これもけっこう最終的には大変でしたね、特にシュークリームは。

──シュークリームは、中がふわふわのクリームで外がパリパリなだけに?

スイーツ

【安野】  そうですね。Toshiさんのお店のシュークリームはフランス寄りのシュークリームで、外がバリバリ固い感じのタイプで、普通の柔らかい感じのシュークリームとは違って食感も質感も違うんです。本編内でシュークリームを作る過程っていうのが出てくるんですが、その取材で行った時に、シュー生地の上に違うテイストのものがのっていて、上に茶色と下に薄い茶色の二層になっているっていうのが初めて判明したので、それも踏まえて二層にしてもらったりしています。 実際に割らないとわからない、見ないとわからないっていうのがいっぱいありました。実際にあるものですしね(笑)

──表現される点で注意されている点などはありますか?

【甲藤】  最初に監督からお話しをいただいた時に、やっぱり「美味しそうに見えるように、夜中に観てみんながケーキ食べたいって思わせるような絵に仕上がるように」って言われたので、常々心がけています。あとリアルすぎるとちょっとダメっていうことだったので、そこも気をつけていますね。

スイーツ

【安野】  監督曰く「せっかく2Dでやっているので、2Dの味は出したい」っていうことで。最初の方のシュークリームはもの凄くリアルで、写真じゃないかって勘違いするほどリアルなものが上がってきたんですけれど、監督に「これはちょっとリアルすぎるな」って言われてしまって。「せっかく2Dでやるんだったら、2Dってわかるもので、それで最高のレベルまでいけるものでやっていきたい」ってあんまりやりすぎるのもダメって言われました(笑)

【西山】  ジャン・ピエールもすごいテクスチャーをはりこんだのを作ったんですけれども、「すごいけどダメ」って言われました(笑)

【安野】  最終的に映像とかを見て「は! ここまでやっちゃったんだ!」ってよく言われましたね(笑)

【西山】  「やりすぎ」って(笑)

【甲藤】  ハイジのパンって、ホントはあんなパンってないですけど、美味しそうじゃないですか? やっぱり手描きで描くならそういう持ち味も出したいなと。シュークリームはすごくリアルで良かったんですけれども、描き直しになっちゃいました(笑)

──今回は鎧塚俊彦さんがプロデュースしたオリジナルのスイーツが登場しますが、異なる分野の方とのコラボレーションで難しいと感じることはありますか?

【安野】  確かにあまりタイアップをやることは多くはないですね。アニメーションで表現する場合は、基本的に何かをもじったりとか全然違うものに変えちゃうっていうことはあっても、完全にタイアップはあまりないです。

──鎧塚さんとお会いされてお話しされたことは?

【甲藤】  お会いしたことはないですね。

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【安野】  私や監督はお話をさせていただいたことはあります。本編でケーキを作るシーンやケーキ作りの説明をする台詞があるので、それは全て監修をしていただいているんです。それで何度かお会いした中で、色付きのもので青とか緑とか美味しそうに見えないので気をつけてくださいという要望やあまり光らせすぎると食べ物に見えないのでという要望はありました。実際にあがったものをメールで送って見ていただいてチェックしていただいたりとかしています。 感覚的な修正が多かったりしますね。

→ケーキ談議はまだ続く!

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