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塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第7回

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”

発達と発展

2008年07月06日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ

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 アップルが世に送り出す製品はハードウェアもソフトウェアも常に新しさに満ちている。性能が着実に向上し、「発達」を続けているのだ。同時に、LeopardはTigerの延長線上にあるとしても両者は別の製品だ。OSという著作物を増やして文化を「発展」させている。

 オリジナルなアイデアをオリジナルに表現できるのがアップルの強みだ。知的財産法制度が描く理想を見事に実践し、社会の変化を作り出している。

 知的財産において大切なことは、ひとつの表現が次のアイデアを生み、アイデアがまた表現を生む、という無限の連鎖の中に「オリジナリティー」があるという認識だ。アイデアや表現を独占せずに公開すれば、それに基づいてほかの誰かが別のアイデアや表現を生み出す。それによって社会全体が発達と発展を続けられるのだ。

 すべての人がオリジナルなアイデアをオリジナルに表現して公開することができる大公開時代。誰もが容易に発達と発展に貢献できるすばらしい時代なのである。


筆者紹介─塩澤一洋


著者近影

「難しいことをやさしくするのが学者の役目、それを面白くするのが教師の役目」がモットーの成蹊大学法学部教授。専門は民法や著作権法などの法律学。表現を追求する過程でMacと出会い、六法全書とともに欠かせぬツールに。2年間、アップルのお膝元であるシリコンバレーに滞在。アップルを生で感じた経験などを生かして、現在の「大公開時代」を説く。



(MacPeople 2007年1月号より転載)


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