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塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第7回

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”

発達と発展

2008年07月06日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ

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アイデアと表現の無限連鎖 発達と発展をみんなで進める大公開時代


 特許法の目的は「産業の発達」だ(特許法1条)。一方、著作権法の目的は「文化の発展」(著作権法1条)にある。この「発達」と「発展」が、両者の相違を象徴している。

 能力や性能が向上していくのが発達、何かが増えたり広がっていくのが発展。特許法は技術の向上を目的とする制度であり、著作権法はひとつでも多くの作品が生み出され、文化的な豊かさを増進するための制度である。

 過度の単純化は危険だがあえてシンプルに対比すると、それぞれ技術的な「質の向上」と表現物の「量の増大」を目指している。垂直方向の進歩と水平方向の拡大とも言える。量の増大といっても、同じものの生産量が増えることではない。種類の増加、バラエティーが豊かになることだ。著作権法が目指す発展とは「多様化」なのである。

 また、技術的に新規で進歩的なもののみが特許をとれるのに対し、著作権の場合、原則として著作物の質は問われない。美しい作品も見苦しい作品も、著作権法の前では同等。「ひとつ著作物が増えた」ことに価値がある。


(次ページに続く)

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