「Logic Studio」をライブでフル活用する「MainStage」
──まったく新しいアプリケーションである「MainStage」について、開発の動機から教えてください。
「Logic Pro」は、スタジオという環境の中で長い間使われて支持されてきました。ところが、最近「Logic Pro」をノートマシンにインストールしてコンサートの会場に持っていき、インストゥルメントやエフェクトを使うという話をいろいろなアーティストから頻繁に聞くようになりました。しかし「Logic Pro」のインターフェースは、レコーディングや音楽制作を主眼としたものです。そこで「MainStage」では、ロジックスタジオの提供するインストゥルメントやエフェクト、ジャムパックなど、すべてを別のユーザーインターフェースから使えるようにするという目的で開発されました。リリースされて半年ほどですが、すでにマドンナやプリンス、アース ウィンド&ファイヤ、カニエ・ウェスト、ジョン・レジェンドなど多数のステージで実際に「MainStage」が使われているという話を聞いています。
──具体的には「MainStage」でどのようなことができるのでしょうか。
「MainStage」では、あらかじめ割り当てたプリセットを「パッチ」と言います。「パッチ」を楽器側のコントローラーを操作して切り替えることで、さまざまなサウンドを使うライブに対応できるようになります。ライブの際にインストゥルメントやエフェクトの割り当て、キーボードやコントロールの状態がリアルタイムに一目で確認できるフルスクリーンモードを用意しており、この表示のレイアウトはユーザーが自由にカスタマイズすることが可能です。
「パッチ」では「レイヤード・サウンド」という機能を使うと、一台のキーボードに複数のインストゥルメントを割り当てて演奏できるのです。そのほかにも「スプリット・パッチ」では、キーボードの高いほうのキーをピアノ、低いほうのキーをウッドベースというように、特殊な設定が可能です。「スプリット・パッチ」がユニークなのは、ピアノとウッドベースの境目(「スピリットポイント」)が固定されていない点です。この機能を使えば、演奏しているとメロディーなどを自動的に判断して、「スプリットポイント」を移動させてくれるのです。このほかにも、パッチを変更した際も前のパッチのサウンドを継続して鳴らしたまま、次のパッチのサウンドで演奏できるなど、「MainStage」にはさまざまな革新的な機能が込められています。
──Macで音楽を作っている日本のユーザーにメッセージをお願いします。
これは世界中のすべて市場に向けてのメッセージなのですが、iPodやiTunesをご覧になってご存知のとおり、音楽はアップルのDNAの一部を形成しています。GarageBandからLogic Studioまでを提供することで、Macは最高の音楽制作プラットフォームということを伝えたいと思っています。今後も、Macを使って作られる日本で音楽が楽しみです。