カーボンナノチューブで従来型よりスピードアップ!
前ページでは光信号を制御するトランジスタを紹介したが、その一方で、電気を使う従来のトランジスタも大きく進化している。産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センターのカザウィ・サイ主任研究員と、南 信次ナノテクノロジー研究部門研究部門長が高純度の単層カーボンナノチューブを用いた高性能トランジスタの開発に成功したのだ。
単層カーボンナノチューブは半導体として優れているが、純度を高めることが難しい。しかし、ポリフルオレン(PFO)という高分子を混ぜて超遠心分離をすることで、極めて高純度のカーボンナノチューブが得られ、それを元に新しいトランジスタが作られたのである。
カザウィ・サイ主任研究員によると、この高純度カーボンナノチューブの長所は、On/Off比電流比が10万倍となり、移動度2平方センチメートル/Vs以上(移動度が大きいほどスイッチ速度が速くなる)となり、さらに「これを使うと、シリコンのトランジスタより柔らかくて曲げても壊れないものができる」点にあるという。
このように、光のトランジスタにカーボンナノチューブなど、最先端技術を用いたトランジスタが続々と登場している。部品としてのトランジスタは、もはや「トランジスタ=ラジオ」と連想してしまう方が時代遅れなのかもしれないなあ……。