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エコを語るよりチャリをこげ!

チャリンコで時速120kmオーバーを出す技術

2008年06月01日 14時55分更新

文● 二瓶 朗

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ロードバイクのすごいテクノロジー

 ジェットエンジンを積むまでもなく、このロードレース用の自転車(ロードバイク)はここ数年でものすごい進化を遂げている。

 ロードバイクに求められるもの、その1つはズバリ「軽さ」である。自転車の質量が軽ければ軽いほど、その加速性が向上する。平地コース山岳コースが入り乱れ、減速と加速を繰り返すロードレースでは、軽さこそが大きな強みとなるわけ。

 現在、ロードバイクのフレーム素材の主流はカーボンだ。以前は、そのしなやかな金属特性からクロモリ(クロムモリブデン鋼)がロードバイクのフレーム素材の主流だった。しっかし、これが重い。車両全体ではおよそ12kgぐらいで、レースで使うにはちょっと悲しくなるぐらいに重かったりする。

クロモリ車

往年の名自転車選手グレッグ・レモンの立ち上げた「LeMond Bycycles」のクロモリ車「Sarthe(サルテ)」。クロモリの特徴を生かした細身のパイプが美しい! しかしスペック表を参照しても重量不明。どれだけ重いのか。カーボン車やアルミ車だとスペックには車重がきっちり記載されているのだけど……

ママチャリ

本来は軽快車とかシティサイクルと呼ぶべき自転車だけれど、誰が呼んだか「ママチャリ」。この写真のようにブランドも製品名もないママチャリが巷にあふれている。20kg超のママチャリも少なくないが、国内にはママチャリ限定の自転車レースも開催されているので侮れない

 そのため、次のフレーム素材として選ばれたのがアルミニウムである。アルミは軽いのだが(車両全体で10kgは軽く切れる)、今度は振動吸収性が低く選手の体力的な負担が増してしまう。そのため、長距離レースにはあまり向かないという欠点があった。しかし「軽さこそ真価」のロードレースではそれも受け入れられてきた。

 そこに新たに登場したのがカーボンというわけ。単に「カーボン」といわれるが、実際は、炭素繊維を熱硬化性樹脂とともに加熱して整形するCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)という、プラスチックとカーボン樹脂の複合材料である。

 このカーボンフレーム、軽さとともに剛性の高さ振動吸収性の高さが利点である。ロードバイクのフレームにまさにうってつけの素材なのだ。加えて、加工のしやすさから選手の体型にあったフレームをカンタンに作成できるという利点もあり、非常に重宝されている。

 以前は加工できる工房が少なく、それなりどころかかなり高価であったのだが、最近は工房も増加。市販車でも一般的になりつつある。お値段は完成車ならほんの20万円ほどから。なんだと20万!? と思うかもしれないが、一昔前からするとほんとに安くなったのだ(しみじみ)。ただし価格はピンキリでそれこそプロ仕様のものだと軽乗用車と同じぐらいの値段のモノも。その車両重量は8kgをラクに切るほど。しかも、さらにさらに最近は、そのカーボン素材にまた一段の進化が見られたりする。「カーボンナノチューブ」の使用である。あー、よだれがッ!!

(次ページでカーボンナノチューブチャリの全貌に迫る!)

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