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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第25回

恐るべき編集眼を持つ「ゴルゴ31」

2008年05月26日 11時00分更新

文● 古田雄介

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安定期:研ぎ澄まされる超A級の編集眼


── 実際のところ2004年前からマンガ系の有名サイトもいくつかあったと思います。彼らはライバルにはならなかったんですか?

GOLGO31 確かにありましたね。ただ、多くは「マンガ感想サイト」で、「マンガ批評サイト」ではなかったんです

 マンガの感想って、そのマンガを読んだ人向けの情報になるじゃないですか。自分みたいな人間は楽しめるんですけど、僕のサイトを見てくれる人全員が楽しめるのかっていったら、そうじゃないんですよ。

 僕はマンガを読む人を少しでも増やしたくて、そういうコンセプトでサイトを運営しています。だから、僕のサイトの読者は、作品を読んでいない人に向けて書いたレビュー(批評)を求めているのではないかと。そういう点で、ほかのマンガ系サイトとは違う読者層をターゲットにしていると思います。

初期にGOLGO31氏が書いたマンガ批評は、現在もトップメニューの「批評/感想」から読める。その総数はおよそ100作品に及ぶ


── なるほど。「自分が見せたいから書く」ではなく、「多くの読者に読んでもらうために書く」という。

GOLGO31 そうですね。ニュースサイトを始めたときから、需要と供給を考えるようになりましたね。単にマンガ批評…というか感想を書いていたときは、「俺が書きたいから書いたんだ!」って感じでしたけど。

 ただ、より多くの読者に読んでもらいたいと考えたとき、行き着くのはネタ系のコンテンツなんです。ネットでよく言われていますが、「100行のレビューより、ひとつの画像」なんですよ。どれだけ「このマンガはいい!」って書いても、ひとつのパンチラ画像にはかなわない

 だからといって画像を見せるだけでは、アクセス数が増えたとしても「マンガを読んでもらいたい」というコンセプトが達成できませんから、肩の力を抜いて楽しめるネタ系に偏っていくというところはありました。


── 確かにネットでは、気合い入れて読むレビューより、気楽に笑えるネタ系が強いですね。

GOLGO31 そうなんです。真面目な批評も大事だし、自分も大切にしていきたいというのは当然あるんですけど、ウェブサイトの需要という点でいくと、やっぱりネタ系なんですよね。


── マスメディア…というか、編集者の考え方にすごく似ていますね。

GOLGO31 よく言われるんです。ニュースサイト管理人の中でも珍しいようでして。意外とニュースサイトを運営している人は、アクセス数を気にせずにマイペースでやるという考えが多いんですよ。僕みたいに、アクセス数をどうやって増やすかとか、どうやったらマンガの世界を広げられるかって考えるのはかなり少数派らしいです。

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