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キャリア・ピックアップ 第42回

きたみりゅうじ

人気漫画家が“プログラマ”だった過去

2008年05月15日 22時00分更新

文● 稲垣 章(大空出版)

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「経験3年の一人前エンジニアです」というハッタリ

 イラスト業務が一段落したらプログラミングの仕事ができると思い、仕事を続けていたというきたみさん。その後状況は変化するも、引き続き“難あり”な状態だったそう。

「満足にプログラマの経験を積めない中で、上司にいきなり『お前は、経験3年の一人前の若手エンジニアのフリをしなさい』と言われ、エンジニアとして出向しなくてはならない目にあったのです(笑)。でも、幸いなことに、その時一緒に出向した先輩が面倒見のいい人で、自分の仕事の合間にプログラミングを教えてくれました。かなり不本意でしたが、結局はこのムチャな指令がプログラミングをする機会になったと思います」

 その後、同社で3年半勤めたきたみさん。しかし、この頃からいずれはサラリーマンではなく、何かでフリーになろうという願望を持ち始めていたと言います(この頃はまだ、“漫画やイラストでフリーに”とは考えていなかったそう)

 そこで、フリーになるためにはいろいろな会社を見ておきたいと考え、Windowsのパッケージソフトウェアを作っている会社に転職。その後勤めた会社が潰れるなどいろいろありながらも、合計で約7年半もプログラマ(エンジニア)を続けたのだそうです。では、現職に就くターニングポイントはどこにあったのでしょうか。

「就職1年目の冬のボーナスでPCを購入しました。これが現職に就く一つのきっかけになったと思います。実は、それまでは絵を描くのが好きでもほとんど描いていませんでした。画材の準備や片付けがめんどくさくて(笑)。でも、PCで描けるようになったおかげで、再び漫画やイラストを描くようになりました。そして、自分の絵を他の人はどう思うのだろうと思い、Webサイトを作って漫画を載せ始めたのです」

 こうして、会社勤め2社目の時代にこのサイトを見ていた技術書ライターさんに声をかけられ、初めて個人でイラストの仕事を持つに至ったと言います。

「勤めのかたわらで漫画の仕事や、解説書のライティングをしていました。しかし解説書を2冊作った時に、会社に勤めながらではこれ以上は無理だと思い、フリーになろうと決意したのです」

(次ページに続く)

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