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サイバー犯罪業界でも、激安戦争が勃発

ウィルス作成ツールの相場は「2万円強」

2008年05月16日 15時20分更新

文● 広田稔/トレンド編集部

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「犯罪組織で働いた方が儲かる」という現実


── 個人情報はいくらぐらいですか?

ホッホシュトラーテ博士 安価で売られていますね。スイスの「WabiSabiLabi」というサイトでは、サイトやプログラムの脆弱製をオークション形式で売買しています。例えば、メールサーバーの脆弱製とその弱点を攻撃するプログラムのセットは、8万円ほどでした。そのほか、メールアドレスは1000万件のセットが1万6000円程度、クレジットカードの情報が200円からといった例もあります。

WabiSabiLabi

オークション形式で脆弱製を売買しているウェブサイト「WabiSabiLabi」

サイバー犯罪用のウェブスペースやドメイン、オンラインゲーム用のアカウントなどを販売しているロシアのサイト(画面にはぼかしをかけています)


── そうした犯罪用のツールを作ったり、使ったりする人というのは、どんな人物なんでしょうか。

ホッホシュトラーテ博士 目立つのはロシアやウクライナの技術者ですね。ロシアやウクライナは、IT教育のレベルは高いにもかかわらず、これらの国では一般のIT企業に就職するより、犯罪組織に入って働いた方が比較にならないほどお金をもらえるんです。

 といっても、先ほども言ったように、犯罪用のツールや情報は売り手が増えてきて価格をさげたため、あまり利益が出なくなってきている。業者は儲けるために、さらに多くのサイバー犯罪に手を染めるという傾向にあります。



北京オリンピックにご用心


── 2008年後半は、どんなウィルスが出てくるでしょう?

ホッホシュトラーテ博士 G DATAでは、北京オリンピックがひとつのきっかけになって、さまざまな犯罪組織から攻撃があるのではと予想しています。

 スポーツの大きなイベントは、関心を持つ人も多いのでターゲットになりやすいんです。2007年には、スーパーボールの開催地であるドルフィン・スタジアムのウェブサイトがマルウァに感染するという事件がありました。その挙動は、ウェブサイトを見ようとアクセスしたコンピューターに対して、悪意のあるプログラムをコピーしよう試みるというものです。そうしたことが北京オリンピックでも、起こるかもしれません。




 ちなみに「ウィルスが500%に増えたら、それに対応する御社のようなセキュリティーソフト企業も社員を500%増やすんですか?」という質問については、「それは今いる社員に5倍働いてもらわなきゃ」とドイツ流(?)のジョークで返してくれた。

 ともあれ2008年後半は、われわれも北京オリンピックがらみのサイバー犯罪に注意したほうがいい。身に覚えのないスパムメールなどは、安易にクリックしないというのが原則だろう。


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