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高速連写で撮る、驚くべき世界 EXILIM EX-F1

2008年05月04日 13時00分更新

文● 行正和義

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ほかの製品では絶対撮れない絵


 デジタルカメラでも連写に強い製品はいくつかあるが、本機の場合、画素数を落とさずフルのサイズで撮れるという点が大きい。メモリーカードの価格も下落を続けているので、とりあえず連写して最良のカットをあとから選ぶ撮り方をしない理由が思い付かない。

 写真黎明期の逸話として、写真が開発されるまでは馬の走り方がよく分かっておらず、画家たちは間違った描き方をしていたという話がある(有名なところではジェリコーの「エプソムの競馬」があるが、これはあえてそう描いたもののようだ)。

背面

上面のモードダイヤルやカーソル周囲のリング状のダイヤルは緻密な表面カットがされていて回しやすい。液晶はワイドタイプで、被写体を写す4:3矩形の右側にでアイコン列を表示させることができる(変更可能)のは従来のEXILIMと共通だ

 ともあれ、写真が開発されてから現在まで、高速度写真や連写はさまざまな動きの謎を解き明かしてきた。われわれの知的好奇心も楽しませてくれる。いままで数百万円クラスで科学技術用途に提供されてきた「高速度カメラ」が一般消費者に手の届く価格で手に入るのだから、これはかなりすごいことだ。

通常撮影、広角側。ここ最近の高画素モデルに比べて画素数が少ないのは当然ながら、解像感ももう少し欲しいところではある。描写性そのものや発色はごく平均的。プログラムオート、1/320秒、F6.6、ISO 100。元画像は2816×2112ドットで、掲載用に800×600ドットにそれぞれリサイズ、トリミングしている

連写撮影の1枚、望遠側。ちょこまかと動く被写体でも気軽に連写を使って一番いいカットを後から選べばよいのはかなり便利。プログラムオート、1/320秒、F5.8、ISO 100

 超高速連写/超高速動画という特徴が目立つが、光学式手ぶれ補正搭載のロングズーム機としてもみてもよくまとまっている。静止画撮影の結果に関しては、特筆するほど画質が良いというほどではないものの、とりたてて悪いところも見当たらない。ハイライト部分の周辺にわずかに着色が見られる場合もあるが、最近のロングズームデジタルカメラとしては(画素数を除けば)平均的な画質と言えるだろう。

 「普通の」望遠ズームデジタルカメラが5~6万円で買えてしまう現状を考えると、10万円を超える価格は高価だ。スポーツやモノの動きを専門的に解析するといった用途だけでなく、単純に撮って楽しむだけでも、損のない1台と言える。

夜景サンプル。前ページで掲載したのと同じシチュエーションで高感度撮影を試した。ISO 1600まで上げて撮影。光学式手ぶれ補正を搭載しているため、実際にはISO 800程度でも十分手ぶれなく撮影できただろう。感度を上げるとややノイズは多めで、暗部には輝点ノイズも残っている。プログラムオート、1/250秒、F3、ISO 1600

 その機能ゆえに「特別なカメラ」のように思い(であることは確かなのだが)、「趣味のために買うのはぜいたく」と感じる人もいるだろう。しかし考えてみれば、プロでもないのに数十万円のレンズや機材を揃える趣味人が多いのがカメラの世界である。

 そういった趣味性の高いカメラ市場で、これでしか撮れない画像があるというのは、本機の大きな強みだ。もちろん「普通の」静止画を撮ることも、ハイビジョンカムコーダとして使うこともできる。そう考えれば決して高い買い物ではなく、値段に見合った満足感が得られる製品と言える。

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