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日の出を計算する世界初のテレビ――レグザ開発秘話

2008年04月30日 20時44分更新

文● 橋本 優/トレンド編集部、写真●小林 伸、パシャ

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(株)東芝 デジタルメディアネットワーク社 テレビ事業部 日本部 参事の本村裕史氏(左)と東芝デジタルメディアエンジニアリング(株) エンベデッドシステムグループ システムLSI技術担当 プリンシパルエンジニアの住吉 肇氏(右)

(株)東芝 デジタルメディアネットワーク社 テレビ事業部 日本部 参事の本村裕史氏(左)と東芝デジタルメディアエンジニアリング(株) エンベデッドシステムグループ システムLSI技術担当 プリンシパルエンジニアの住吉 肇氏(右)


 今月から順次発売となった新しい「レグザ」シリーズ(ZH、ZV、RH、CVシリーズ)には全機種、周囲の照度環境や映像ソースにより映像モードを自動で変更する「おかませモード」が搭載されている。

レグザ「ZH500」

レグザ「ZH500」

 このおまかせモードは、日にちによって日の出/日の入り時刻を計算するなど「そこまでするか!?」というこだわりの仕様になっている。その裏側には、約半年に及ぶ開発陣の葛藤があった。 

衝撃的なアンケート結果から生まれた「おまかせモード」


住吉氏

住吉 肇氏

 このおまかせモード開発の発端は、衝撃的なユーザーアンケート結果にあったという。これまでのレグザは多彩な映像モードを搭載し、それをユーザーが細かく調整できることが特徴のひとつだった。しかし、実に97%のユーザーが画質の調整を行なっていない、という回答だったのだ。

 このままではいけない、と東芝のレグザ開発陣は立ち上がった。昨年9月に同社の3事業所と本社スタッフから構成される映像モードについてのプロジェクトチームが発足。深谷工場の技術者、青梅工場の「コアテクノロジーセンター」のスタッフ、神奈川県川崎市にある「RDC」(研究開発センサー)の研究者といった総勢15~6名の編成で、同年12月まで毎週のように議論を重ねた。

 そこで話し合われたのは、ただ単に映像モードを自動的に切り換える、というだけの話ではなかった。

 「照度環境が変わると、本当は映像のパラメーターを変えてやらないといけない。ベストは何かというと、(デフォルトの照度設定から)ちょっとずれたところにあるのです。(映像モードは)点(固定)ではだめで、面だったり線だったりしなければいけないんですよ」(住吉氏)

 これを実現するには、まずは部屋の明るさをより正確に把握できることが重要だった。そこで新しいレグザでは、より広い範囲の明るさを検知できるように、明るさセンサーの前に取り付けるフィルターを開発するなどの対応が行なわれた。

 その明るさセンサーと合わせ、表示する映像のヒストグラムをリアルタイムで解析する機能も搭載した。このヒストグラムを元に、明るさや色の濃さといった設定を自動で調整し、周囲の環境が明るくても暗くても人の目からみて同じ明るさの映像になるように開発した。

テレビ前面にある明るさセンサー(右下)

テレビ前面にある明るさセンサー(右下)

お外で番組チェックができる「ワンセグ録画」

 新しいレグザでは、フルセグの録画と同時に、ワンセグの同じ番組を録画する機能が搭載されている。録画した番組をとりあえず通勤電車などで視聴するのに便利な機能だ。

SDメモリーカードへのムーブは「ワンセグ録画リスト」から行なう

SDメモリーカードへのムーブは「ワンセグ録画リスト」から行なう

 やり方は簡単で、録画予約時にワンセグ録画のオプションを選択するだけ。録画した番組にワンセグのマークがついていれば成功だ。あとは本体にSDメモリーカードを差してムーブすればいい。ムーブしたからといってフルセグの番組はそのまま残るため、後でゆっくり高品質な映像を視聴できる 。

microSDカードをSDメモリーカードスロットに差すには、アダプターが必要だ。携帯電話機は“レグザ”ブランドのものが推奨されているが、手持ちのワンセグケータイ「P903iTV」(パナソニック製)でも再生できた

 ただし、いくつか気をつけたい点がある。まず携帯電話機の場合、ほとんどはmicroSDカード対応なのでレグザのSDメモリーカードスロットに差すには別途アダプターが必要となる。また、視聴できるポータブル機器はSD VIDEO形式の動画(ISDB-T Mobile Video Profile)が再生できる必要があり、携帯電話機でいえばワンセグ対応機種などが該当する。

 さらに、知っていれば当然のことなのだが、ワンセグの放送が行なわれていないBSデジタル、CSデジタル放送は録画できないのでご注意を。

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