本連載では、ビジネス書評家・土井英司が、毎月のビジネス書ランキングを分析し、現在のベストセラーから未来のビジネストレンドを解説する。
ベストセラーのカギは女性のストレス
2007年3月 ビジネス書ベスト10 | |
|---|---|
| 1位 | できる人の勉強法 |
| 2位 | 鏡の法則 |
| 3位 | 「心のブレ-キ」の外し方 |
| 4位 | 餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか? |
| 5位 | 生き方 |
| 6位 | なぜ、社長のベンツは4ドアなのか? 決算書編 |
| 7位 | なぜ、社長のベンツは4ドアなのか |
| 8位 | チャンスがやってくる15の習慣 |
| 9位 | 成功はゴミ箱の中に |
| 10位 | 図解夢をかなえる「そうじ力」 |
人々のコミュニケーションの変化に対する不安が
現れている
みなさん、こんにちは。ビジネス書評家の土井英司です。
今月から始まるこのコーナーでは、最近売れているビジネス・実用書のトレンドを分析しながら、社会の趨勢と新たなビジネスチャンスをとらえていきます。
第1回となる今回は、2007年3月のビジネス書のベストセラートレンドを分析。なぜこんな本が売れるのか、その背景に社会のどんなニーズがあるのか、さっそく見ていきましょう。
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| 著者:野口 嘉則 出版社:総合法令出版 価格:1000円(税込) ISBN-13:978-4893469625 |
3月になって初めてランクを1つ落としてしまいましたが、ランキング2位の『鏡の法則』をはじめ、ロングセラーとなっている稲盛和夫さんの『生き方』、佐藤伝さんの『幸運を呼びよせる朝の習慣』など、自己啓発書が昨年以降、よく売れています。
とくに『鏡の法則』は、100万部以上のベストセラーとなっているわけですが、その背景には日本社会の家族の変容、そして人々のコミュニケーションの変化があったと思われます。
本書は実話に基づく話を、著者で人気ブロガーの野口嘉則氏が物語として書き下ろしたものです。小学校5年生になる息子の優太が学校でいじめられ、悩む母親の栄子。しかし、その問題の原因は、息子や友人、学校ではなく、母親自身にあった……。「鏡の法則」というゴールデンルールを教わって実践し、劇的に人生が変わっていく主人公の姿が多くの共感を呼んでいるようです。
同様のストーリーは、『鏡の法則』以前に出され、同じく50万部超の大ベストセラーとなった『ハッピーバースデー』(著:青木和雄・加藤美紀、金の星社)にも見られます。この本もストーリー仕立てで、母親から娘への精神的虐待をテーマにしており、その原因は娘ではなく、母親にあった、という形で結んでいます。
女性が社会進出することで、希薄になってしまった親子のコミュニケーション。親の問題が子どもの心理にまで影響する様を、この2冊は鋭く描写しています
「心のゴミを取り除く」がキーワードに
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| 著者:舛田 光洋 出版社:総合法令出版 価格:798円(税込) ISBN-13:978-4862800046 |
ほかにも、女性の社会進出に伴い、売れているのが一連の「そうじ力」関連本(3月は『図解夢をかなえる「そうじ力」』がランクイン)。
もともとは総合法令出版から出た同著者の2冊目、『「そうじ力」であなたが輝く!』がきっかけでブレイクしたもので、面白いのは、男性を狙って作った前著が動かなかったのに、女性向けにした途端、売れ始めた、という点です。
これまで、ビジネス・自己啓発系の掃除本といえば、カー用品専門店のイエローハットの創業者・鍵山秀三郎さんの『掃除道会社が変わる・学校が変わる・社会が変わる』(PHP研究所)をはじめ、男性経営者向けのものが多かったのですが、昨年から今年にかけてのブームは女性が火付け役。このことから、『「そうじ力」であなたが輝く!』も仕事が忙しく、家のことが疎かになっているストレスから売れた、と読むことができるでしょう。
資本主義が本格化していくなかで、仕事中心主義がもたらす弊害。今後もそのストレスから来るニーズが、本に限らず、あらゆるビジネスのカギを握っていると思われます。特にいまは女性のストレスが一つのカギになりそうです。
「心のゴミを取り除く」そんな切り口を意識してみてはいかがでしょうか。
2007年3月 ビジネス書ランキング |
|
|---|---|
| できる人の勉強法 | |
| 安河内哲也(中経出版) | |
| 鏡の法則 | |
| 野口嘉則(総合法令出版) | |
| 「心のブレ-キ」の外し方 | |
| 石井裕之(フォレスト出版) | |
| 餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか? | |
| 林総(ダイヤモンド社) | |
| 生き方 | |
| 稲盛和夫(サンマーク出版) | |
| なぜ、社長のベンツは4ドアなのか? 決算書編 | |
| 小堺桂悦郎(フォレスト出版) | |
| なぜ、社長のベンツは4ドアなのか? | |
| 小堺桂悦郎(フォレスト出版) | |
| チャンスがやってくる15の習慣 | |
| レス・ギブリン(ダイヤモンド社) | |
| 成功はゴミ箱の中に | |
| レイ・クロック、ロバート・アンダーソン(プレジデント社) | |
| 図解夢をかなえる「そうじ力」 | |
| 舛田光洋(総合法令出版) | |
| デキる上司 | |
| 白潟敏朗(中経出版) | |
| 幸運を呼びよせる朝の習慣 | |
| 佐藤伝(中経出版) | |
| 速読勉強術 | |
| 宇都出雅巳(すばる舎) | |
| いい明日がくる夜の習慣 | |
| 佐藤伝(中経出版) | |
| あたりまえだけどなかなかできない仕事のル-ル | |
| 浜口直太(明日香出版) | |
| スラスラ話せる敬語入門 | |
| 渡辺由佳(かんき出版) | |
| できるWindows Vista | |
| 法林岳之(インプレスジャパン) | |
| 新装開店「キャバクラ」の会話学 | |
| 山本信幸(インデックス・コミュニケーションズ) | |
| 人脈の教科書 | |
| 藤巻幸夫(インデックス・コミュニケーションズ) | |
| 夢をかなえる時間術 | |
| 伊藤真(サンマーク出版) | |
(日販オープンネットワーク調べによるビジネス書に絞ったランキング。集計期間は2007年3月1日~31日)
土井 英司 (どい えいじ)
ビジネス書評家 / 出版マーケティングコンサルタント / メルマガ「ビジネスブックマラソン」編集長
慶應義塾大学総合政策学部卒。日経ホーム出版社を経て、2000年にAmazon.co.jp立ち上げに参画。 ビジネス・実用書の「陰の仕掛け人」として、『ユダヤ人大富豪の教え』(本田健・著、40万部突破)を始め、数々のベストセラーのきっかけを作った。近著に『「伝説の社員」になれ!』(草思社)がある
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