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ベストセラーがビジネスの未来を創る ― 第2回

ビジネスパーソンの生涯学習ニーズを掴め!

2007年05月01日 00時00分更新

文● ビジネス書評家・土井英司

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本連載では、ビジネス書評家・土井英司が、毎月のビジネス書ランキングを分析し、現在のベストセラーから未来のビジネストレンドを解説する。

ビジネスパーソンの生涯学習ニーズを掴め!

2007年4月 ビジネス書ベスト10

1位できる人の勉強法
2位鏡の法則
3位環境問題はなぜウソがまかり通るのか
4位「心のブレ-キ」の外し方
5位チャンスがやってくる15の習慣
6位細野真宏のニュ-スでわかる世界一わかりやすい株の本
7位人は「暗示」で9割動く!
8位生き方
9位なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?
10位投資信託にだまされるな!

ランキングの詳細▼

お勉強系入門書が売れている

 みなさん、こんにちは。ビジネス書評家の土井英司です。

 最近、刊行した拙著『「伝説の社員」になれ!』がおかげさまで好調です。発売10日で4万1千部、ビジネス書の総合ランキングでも25位~30位くらいを行ったり来たりしています。 いつか自分の本をこのコーナーでご紹介できることを楽しみにしつつ(笑)、今月のベストセラートレンド、紹介して参りたいと思います。

 さて、第2回となる今回は、2007年4月のベストセラートレンドを分析。前回同様、なぜこれらの本が売れるのか、その背景に社会のどんなニーズがあるのか、さっそく見ていきましょう。

 今月のランキングで目立つのは、お勉強系の入門書が売れていること。

 とくに、トップに輝いた『できる人の勉強法』は、TOEICで990点満点、英検1級取得など、数多くの難関資格を突破し、英語講師としても定評のある著者の安河内哲也氏がその勉強法を公開した一冊ということで、話題になっています。

できる人の勉強法
著者:安河内 哲也
出版社:ダイヤモンド社
価格:1365円(税込)
ISBN-13:978-4478550212

 ほかにも、6位にランクインした、カリスマ予備校講師で、日本初の経済本のミリオンセラーとなった『経済のニュースがよくわかる本「日本経済編」』(小学館)の著者、細野真宏氏の『細野真宏のニュースでわかる世界一わかりやすい株の本』、9位にランクインした「資金繰りコンサルタント」の小堺桂悦郎氏の『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』など、勉強本のベストセラーが目白押しです。

 このトレンドの背景にあるのは、サラリーマンの自己啓発ニーズ。

「年収300万円時代」「ワーキングプア」などと言われて将来に不安を抱える若いビジネスマン層が、少しでも不安を解消するために株式投資や会計などのビジネスのツボをさらりと学べるお手軽本に走っている、そんな様子が伺えます。

 また、2年ほど前からずっと売れている、20代向けのマナー本、仕事に関する基本書も引き続き売れています(『あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール』(著:浜口直太、明日香出版社)など)。

 若年層の不安に応える本が軒並みベストセラーとなっている現在、ここから何のビジネスチャンスを学びとるべきでしょうか。

 それは、「ビジネスパーソンの生涯学習ニーズ」です。

ビジネスパーソンの向学心を狙え

 わざわざ土井がコメントすることもありませんが、現在は通信教育として知られる「生涯学習のユーキャン」やコンサルタントの大前研一氏主宰の「ビジネス・ブレークスルー」、MBA教育で知られる「グロービス・マネジメント・スクール」など、社会人向けの講座が絶好調です。

 それはなぜかというと、変化の激しい現在、現場で学んだ知識だけでは厳しいビジネス環境で生き残ることができないからです。お勉強系の入門書は、こういった社会人向けのビジネススクールに行っているビジネスパーソンはもちろん、スクールに通うほどではなくても会計学などに興味がある人のニーズも掴んでいるのでしょう。

 現代は、自分だけの付加価値をつけた人には、大きなチャンスがある、というのも学習意欲を高める要因となっています。事実、M&Aの実務がわかっている人や、ベトナム語などのマイナー言語を知っている人材には大きな報酬が支払われています。

 知識労働が主体の世の中に変わると、持っている知恵や情報で差がつく。それだけに経営者もビジネスパーソンも、日々新しい情報を取り入れるのに真剣になっているのです。

 とはいえ、本当の意味で他者に差をつけるには、単なる情報ではなく「知恵」や「センス」が必要。

できる人の勉強法
著者:ダニエル・ピンク
翻訳:大前 研一
出版社:三笠書房
価格:1995円
ISBN-13:978-4837956662

 その点を説いたビジネス書で土井のオススメが、大前研一氏が翻訳をつとめた、ダニエル・ピンク著『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』(三笠書房)、そして、全米No.1デザインファームとして知られるIDEOの人材論を述べた『イノベーションの達人!』(著:トム・ケリー、ジョナサン・リットマン、早川書房)です。

 前者は「21世紀にまともな給料をもらって、良い生活をしようと思った時に何をしなければならないか」ということについて、「右脳」と「左脳」の果たすべき役割について記され、後者はIDEOを支えるヒューマンファクターを、10のキャラクターに分類した新しい人材論となっています。

 変化の時代にも付加価値を生み出し続けられる人材とはどんな人材なのか。両著者の考察が光ります。

 男女問わず、学習意欲・自己啓発意欲が高いビジネスパーソンが増えている今日、ビジネス的にも、彼らの悩みにどう解決していくかが、ヒットの鍵を握っていると言っていいでしょう。

2007年4月 ビジネス書ランキング

1
できる人の勉強法
安河内哲也(中経出版)
2
鏡の法則
野口嘉則(総合法令出版)
3
環境問題はなぜウソがまかり通るのか
武田邦彦(洋泉社)
4
「心のブレ-キ」の外し方
石井裕之(フォレスト出版)
5
チャンスがやってくる15の習慣
レス・ギブリン(ダイヤモンド社)
6
細野真宏のニュ-スでわかる世界一わかりやすい株の本
細野真宏(文藝春秋)
7
人は「暗示」で9割動く!
内藤誼人(すばる舎)
8
生き方
稲盛和夫(サンマーク出版)
9
なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?
小堺桂悦郎(フォレスト出版)
10
投資信託にだまされるな!
竹川美奈子(ダイヤモンド社)
11
デキる上司
白潟敏朗(中経出版)
12
なぜ、社長のベンツは4ドアなのか? 決算書編
小堺桂悦郎(フォレスト出版)
13
何のために働くのか
北尾吉孝(致知出版社)
14
お金持ちになる人、ならない人の仕事術
ブライアン・トレ-(アスコム)
15
成功はゴミ箱の中に
レイ・クロック、ロバート・アンダーソン(プレジデント社)
16
あたりまえだけどなかなかできない仕事のル-ル
浜口直太(明日香出版)
17
幸運を呼びよせる朝の習慣
佐藤伝(中経出版)
18
速読勉強術
宇都出雅巳(すばる舎)
19
いい明日がくる夜の習慣
佐藤伝(中経出版)
20
ビジョナリ-・ピ-プル
ジェリー・ポラス、スチュワート・エメリー、マーク・トンプソン(英知出版)

(日販オープンネットワーク調べによるビジネス書に絞ったランキング。集計期間は2007年4月1日~30日)

土井 英司 (どい えいじ)
ビジネス書評家 / 出版マーケティングコンサルタント / メルマガ「ビジネスブックマラソン」編集長
慶應義塾大学総合政策学部卒。日経ホーム出版社を経て、2000年にAmazon.co.jp立ち上げに参画。 ビジネス・実用書の「陰の仕掛け人」として、『ユダヤ人大富豪の教え』(本田健・著、40万部突破)を始め、数々のベストセラーのきっかけを作った。近著に『「伝説の社員」になれ!』(草思社)がある

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