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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情 第5回

[特集] 自作PC中級者が“知ったか”はハズいぜ!【Vol.5】

アキバで恥をかかないための最新パーツ事情【電源/ケース編】

2008年04月11日 23時59分更新

文● 加藤 勝明

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 これまで4回に渡り、CPUマザービデオカードHDD&メモリーの“今どき”を解説してきた。時代に取り残され感が強かったマイPCも、ここで得た知識を元に最新パーツに更新すれば、再び第一線で使えるPCになるだろう。CPUの強化をしようと思ったら、ケース以外のパーツ全てを交換するハメになる人もいそうだが、だがちょっと待って欲しい。「その電源ユニットとPCケースで本当にいいの?」
 と言う訳で今回はPCの安定性を裏から支える「電源ユニット」と「ケース」の“今どき”を解説してみたい。

ちょっと待て!そんな電源とケースで本当にいいのか?

電源ユニットってそんな重要なもの?

 電源ユニットというのは、コンセントからのAC電源をPCが利用しやすいDC電源に変換するためのパーツだ。ちょっと前までだとケースの付属品扱いだったのだが、今ではレッキとしたパーツの1つとして認知されている。ショップに行けば電源ユニットの専用棚まであるほどだ。その理由は、電源ユニットがPCの安定性を大きく左右するパーツになったから。電源ユニットがAC100Vのコンセントから変換できる電力量には限界があり、各種パーツが動作するのに必要な電力を無限に供給できる訳ではない。すでにチラっとCPU編VGA編で電源ユニットの話に触れたが、「電源ユニットが貧弱だと高性能パーツが要求する電力を供給できない」のだ。電力供給が少ないと動作が不安定になる、動かなくなるといった症状が出てくる。という流れで電源ユニットをおろそかにすべからず、という結論に達する訳だ。

電源内部

電源の内部は意外とシンプル。安定した電力を供給するにはコンデンサーの品質が重要となる。なお、電源の分解は感電の恐れがあるため、絶対に真似をしないように

思い切って買い替えてしまえ!

 困ったことに、今手元にある電源ユニットが最新PCで使えるか否かを正確に判断する術はない。それというのもPentium 4/D時代と、現在のCore 2 Duoなどの省電力をウリにしたパーツでは電力供給量への負荷が全く異なるため、ハイエンドパーツを使うのでなければ意外とすんなり動いてしまうことが多いのだ。
 しかし、AC100VをPCが要求するDC電源に変換する際の「変換効率」は、電源ユニットの経年劣化で徐々に落ちる(消費電力が上がる)傾向にある。さらに冷蔵庫やクーラーと同じように、昔の電源ユニットと今の電源ユニットでは、変換効率が格段に異なる(昔は70%程度だが、今は80%以上が普通)ため、思い切って電源ユニットも買い替えてしまった方がいろいろな面で得をするはずだ。とりわけ最近の電源は静音性も重視されているので、電源ユニットを交換するだけでかなり静かになることも多い。使い回しも美徳のうちだが、電源ユニットは思い切って交換してしまうことを強くオススメしたい。

RealPower M1000

変換効率85%を誇るクーラーマスター製電源ユニット「RealPower M1000」。搭載する135mm角ファンの最小騒音値は16dBと、静音性も重視されている

KT-650APS SLI+

筐体を銅メッキとすることで冷却・ノイズカット効果を高めているという恵安の「静か名人 免許皆伝」。こちらも変換効率は85%だ

電源ユニットはドコを見ればよい?

 さて電源ユニットをいざ選ぼうとなるときに困るのが、電源ユニットの善し悪しの判断だろう。下は8千円程度から上は5万円以上と幅も選択肢も異様に多いため、ちゃんと事前にポリシーを立ててショップへ行かないと確実に戸惑う。だが電源ユニットはドコを見ればいいのか……それがわからなければ無意味だ。まずは電源ユニットで注目すべき点をしっかりおさらいしておこう。
 まず注目すべきは化粧箱の外側、または電源ユニットの側面に貼られたラベルだ。そこには表記方法の違いはあれど、だいたいこんな感じの表が印刷されているはずだ。電源ユニットの価値の7割はここで読み取れるといっても過言ではない。この表の中で重要な数値の読み方をまず学んでおこう。

出力電圧 +3.3V +5V +12V1 +12V2 -5V -12V +5VSB
最大電流 35A 40A 20A 20A 1.0A 1.5A 2.5A
最大電力 200W 390W 5W 18W 12.5W
総出力 520W
最大出力 610W

・出力電圧と最大電流
 PCパーツが要求する各電源ラインの電圧(単位はボルト)を示す。各ラインごとに最大電流(単位はアンペア)が決まっているが、今のPCの設計ではとりわけ+12Vの出力が重視される。+3.3Vや+5Vも不要という訳ではないが、+12V出力が強い(太い)電源ユニットは+3.3Vも+5Vも太いため、あまり気にする必要はない。
 現在の電源ユニットのデザインでは、+12Vは最大20Aを上限に+12V1/+12V2……と複数系統に分かれている。+12V1がマザーやHDDに電力を供給し、+12V2がマザー上の補助電源コネクタ(ATX12Vなど)を通じてCPUに電力を供給するようになっている。複数のハイエンドビデオカードに対応する電源ユニットでは、ビデオカード専用に+12V3以降のラインが追加されている。SLIやCrossFire環境を構築したければ、+12V3以降も装備されているものがよい。
 ちなみに、今どきのCPUを使うには、+12Vが18A以上、+5VSBが2.2A以上のものが必要とされているが、後述する最新規格をクリアしていれば、特にこの数値にピリピリする必要はないだろう。

TG-480-U01

筆者の手元にあるちょっと古めなTagan「TG-480-U01」のラベル面。+12Vが28Wと太い割に1系統しかなく、総出力も480Wと低め。こんな電源でも最新の「Core 2 Duo」と「Radeon HD 3870 X2」が動いてしまったりするからわからないものだ

(次ページへ続く)

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