世代交代が必要だが、できない日本
── 世代交代のシステムが必要ということですが、米国では若い世代とスイッチしているのでしょうか?
小飼 なんとなく会社にいて、なんとなく仕事をして、なんとなくゴルフをして、というゾンビのような人はあまりいないですね。ゴルフが好きな人は、ゴルフばかりやりたいから。
中島 ゴルフで思い出したけど、会社法の本を読んでいたら、法律の話をする前に関係者の人物像を定義しようと言って、最初に「ゴルファー」が出てきていた。ゴルファーは、働かないけど株や金だけ持っている人で、働く人は働く人として別の定義なんです。そこがはっきり分かれている。
米国人にとってアーリーリタイアメントはものすごい夢なんですよ。ゴルフ場に行くと50歳くらいで引退しちゃった人がゴロゴロいる。「どうしたの?」と話しかけると「いや俺は株で当ててね」なんてすごく嬉しそうに答えるんです。やっぱり自分のお金でゴルフをするほうが、割り切れるじゃないですか。日本では会社に所属したうえで、ゴルフ代を接待費で落とすというケースが非常に多い。
小飼 日本ではまともな待遇にしようとすると、どうしてもフリンジベネフィット(福利厚生費)に色を付けざるを得なかったんですよね。
中島 例えば、米国において会社のお金でゴルフをしたら、かかった金額はその人の収入と見なされます。経費という形にはならない。
小飼 米国はフリンジベネフィットに対して厳しいからね。だから高給取りといっても、そのまま受け取っちゃいけません。例えば、社宅のような福利厚生でも収入に入るので、「サラリー10万ドル」と「給料1000万円」では意味が違います。
中島 基本的に日本の大企業の上層部は給料を大してもらってないですよね。本当に一部上場企業の副社長だったら、アメリカでは数億円貰っていてもいいはずなのに、日本ではせいぜい2000万、3000万円でしょう。だけど、好き勝手に使える接待費とゴルフ代が同じくらいあったりする。これはおかしいと思う。
小飼 だから、ゴルフをやりたい人たちにゴルフだけをさせるにはどうしたらいいかということから始めた方がいいかもしれないですね。
彼らだって若い頃には苦労して、搾取されていたわけですから、ゴルフをやる権利はあるわけです。でも、そういう人にこれからゴルフに専念してもらうための制度がない。会社に籍があるとゾンビになってしまう。だからもうゴルフをしたい人には、相当な退職金を出して、ゴルフを自分の金でやってくれ、と。そんなにゴルフが好きだったら(笑)