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【IDF 2008 上海レポート Vol.3】

NetbookやMIDでモバイルを変える「Atomプロセッサー」

2008年04月04日 21時46分更新

文● 山本雅史

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 「Intel Developer Forum Shanghai 2008」(以下IDF上海)1日目の基調講演の後半では、モバイル分野についての講演が行なわれた。米インテル社のモビリティーグループ担当主席副社長のデビッド・パルムッター(Dadi Perlmutter)氏は新しいCentrinoプラットフォームに関して述べ、ウルトラモバイルグループ担当上級副社長のアナンド・チャンドラシーカー(Anand Chandrasekher)氏が「Atomプロセッサー」(関連記事)に関しての発表を行なった。


フル装備ノートパソコンからNetBookへ


デビッド・パルムッター氏

インテル モビリティーグループ担当主席副社長のデビッド・パルムッター氏

 パルムッター氏は、米ガートナー社の調査データを提示し、「ノートパソコンの出荷量はどんどん増えている。2011年には、デスクトップPCの出荷量を超えると予測される。これは、多くの人がデスクトップの代わりではなく、ノートパソコンを最初のパソコンとして購入することを意味する。ということは、ノートパソコンはデスクトップよりも、よりパーソナル化したテクノロジーやバリエーションをそろえる必要が生じている」と語っている。

 インテルでは、モバイル(広義のノートPC)用のプラットフォームとして「Centrino プロセッサー・テクノロジー」を提供しているが、PC向けのCentrinoだけでは、多くのユーザーにとって満足いく製品を提供できていない。ユーザーがモバイルに求めるものは多岐に渡り、ひとつのバリエーションでは実現できない。そこで、モバイルも用途別に作っていこうという方向性が出てきた。そのひとつがAtomプロセッサーだ。

Netbookという新しいジャンルが登場

モバイルはノートパソコンだけでなく、Netbookという新しいジャンルが登場して、大きく3つのジャンルに分かれていく

 パルムッター氏はAtomプロセッサーにより、インターネット利用中心の超低価格PC「Nettop」や「Netbook」、さらにネット利用に特化した携帯デバイス「MID」(Mobile Internet Device)が促進されるとしている。NettopやNetbookでは、Atomプロセッサーの別バリエーション(コード名 Diamondville)が利用される。

Netbook/Nettopの特徴

Netbook/Nettopの特徴。CPUにはAtomプロセッサーのDiamondvilleが利用されている

Nettopはコストのボードデザインサンプル

NettopはCPUソケットを使わないなど、コストを安くするためのボードデザインがなされている

 DiamondvilleはMIDに使われるAtomプロセッサー(4月2日に発表されたコード名「Silverthorne」)とは異なり、Intel 945Gチップセットとの組み合わせで使われる。チップセットとしては数世代前のものだが、ウェブブラウジングを主体とするNettop/Netbookの使われ方を考えると、性能面では十分で、コストも安く済む。

 インテルでは、Netbookを「10インチの液晶ディスプレー、WiFi、LinuxかWindows XP Home Edition」などで構成して399ドル(約4万698円)以下で、Nettopはさらに安い100~299ドル(約1万2000~約3万498円)で登場すると計画している。実際にNettopやNetbookが市場に出荷されるのは、5月以降になる。

Diamondvilleを搭載するNetbook

Diamondvilleを搭載するNetbook


「Centrino2」がノートを加速させる


 Atomに続いて紹介されたのは、3月に発表された「Centrino2 プロセッサー・テクノロジー」プラットフォームである。Centrino2は「Montevina」(モンテビーナ)のコード名で呼ばれていたもので、CPUは現行Core 2 Duo/Quadと同じCPUを採用し、新たなチップセット「Cantiga」(カンティガ)とWiFiモジュールで構成される。WiFiモジュールのバリエーションには、高速無線ネットワーク「WiMAX」対応版も用意される。

 Montevinaプラットフォームでは、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、ワイヤレス、管理性などが大幅に向上するとしている。内蔵するグラフィック機能は、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark06で現行世代の2倍以上のスコアを実現し、BDタイトルのHD映像の再生や映像出力インターフェースの新規格「Display Port」への対応など、大きく機能拡張されている。それでいて、今までよりも低消費電力化を実現することで、バッテリー駆動時間をさらに延長するという。リリースは2008年6月頃になる予定だ。

Montevinaプラットフォームではパフォーマンスが大幅に向上している

Montevinaプラットフォームでは、既存のSanta Rosaプラットフォームに比べて、パフォーマンスが大幅に向上している

 また、Montevinaのリリース時期に、フラッシュメモリーを使ったSSD(ソリッドステートディスク)を提供する計画も公表した。これは1.8または2.5インチHDDの大きさで、32~160GBまでの容量を持つ。このSSDを使うことで、Montevinaを使ったノートパソコンは高速に動作し、バッテリー駆動時間の長い製品になるだろう。

インテルがリリースを予定しているSSD

インテルがリリースを予定しているSSD

Core 2 DuoとSSDの組み合わせは、今までとは違うパフォーマンスをノートパソコンに提供する。実際、HDDに比べると数倍は速度が速くなっている

Montevinaではプラットフォームの消費電力を10Wほど下げることができる

Montevinaではプラットフォームの消費電力を10Wほど下げることができる

 さらにMontevinaでは、ビジネスパソコン向けのプラットフォーム技術「vPro」の機能拡張も行なわれる。vProは大企業ユーザー向けの機能と考えられがちだが、新しいvProでは盗難対策など、個人ユーザーにも便利な機能が用意される。この機能を利用すると、例えばノートパソコンを盗まれても、登録したユーザーしかパソコンのデータが読み取れなくなる。またHDD自体を暗号化することで、ノートパソコンからHDDを取り外しても、中身を読み取ることはできない。

 パルムッター氏は次々世代のモバイル向けプラットフォームについても言及。2009年には「Calpella」(カルペラ)プラットフォームのリリースを計画していると述べた。

2009年にはモンテビーナの次のプラットフォーム「Calpella」をリリースする。Calpellaの詳細に関しては今回発表がなかったが、NehalemベースのCPUとチップセットに移行する

2009年にはモンテビーナの次のプラットフォーム「Calpella」をリリースする。Calpellaの詳細に関しては今回発表がなかったが、NehalemベースのCPUとチップセットに移行する

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