「ネット右翼」は存在しない
── ちなみに、支援者はたくさんいるんですか?
外山 う~ん、どうだろう。資金提供してくれる人は数えるほどだけれども、支持者を含めると結構いるかな。世の中にいらだちや憤りを持っていても、既成の右や左の運動に幻滅しているという人はやっぱりいるから、そういう人たちに支持されている感触はある。
── ウェブページはいつから開設していますか?
外山 最初に作ったのは、1996年ぐらい。出獄後にしばらく居候させてくれた熊本の支援者がコンピューター好きで、その人に勧められたのがきっかけ。
「これからはインターネットだよ」とか言われて、なんだかよく分からないままに、その人と一緒に電気屋に行って、Macを買って(笑)。その人にウェブページ作成ソフトをもらって、文章がただ載っているだけのサイトを作っていました。ちなみにポスターもMacで作っている。
── ネットの文章を見て、外山さんのところに来る人っていますか?
外山 いるけど、あまり期待してない。ネットはきっかけとしてはあっても、リアルで交流しないとあまり意味がないと思ってる。本を書いたり、ビラをまいたりするのと同じ感覚でネットでもいろいろ発信しているけど、特に重視はしていない。あまりよく分かってないしね。
── インターネットが政治に影響を及ぼすことはあると思いますか?
外山 いくつかあるうちの道具としては使えても、ネットに特化した政治運動とかをやってもろくな結果を生まないと思う。安易にブームに乗っかると、浮ついた運動にしかならないし。
── 最近、ネットで右翼っぽい若者が増えていると聞きますが、どう思いますか?
外山 僕はネット右翼はいないと思うんだよ。これまで文章が面白くなかったり、頭が悪かったりで、発表の場がなかった普通の人たちが馬鹿なことを書いてるだけで、単純な右傾化では無いと思うんだよね。昔から発言してこなかった一般の人というのはああいう感じだろうし、それを世間がまるで重大な右傾化のように捉えるから、かえって調子に乗るわけで。
ああいう馬鹿な人たちに発言させたくないから、民主主義反対なんだけどね(笑)。頭のいい人はいったんは左に行くから。正しさを追求すると、論理的な能力があれば左翼に行くのが当たり前だと思う。でも、「正しいことが必ずしもいい結果に結びつくわけじゃない」というところに至って、初めて右翼思想が意味を持つわけ。