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絵作りの裏技公開──ペンタックス「K20D」と「K200D」の開発者に聞く(後編)

2008年04月04日 20時15分更新

文● 小林 伸(カメラマン)

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意外に大変なポップアップ機構と防滴の両立


── K200Dは、K100DのボディーにK20Dの技術を投入したとのことでした。エントリークラスの製品で防塵防滴設計を採用したのは珍しいですね。

機構全般を担当した堀真克氏。「メカ設計は縁の下の力持ちと語る」

 このクラスに防滴は必要なのかという議論はありましたが、そこをやってこそペンタックスだろうという思いがありました。エントリー機ということで一番苦労したのは、やはりポップアップ機構ですね。ストロボが自動的にポップアップする防滴カメラは、今までなかったんじゃないかと思います。

── どのへんに難しさがありますか。

 電気的な力でマグネットが外れる仕組みになっていますが、防滴用のクッション材とどうバランスを取るかが苦労したところですね。最初は本当にできるんだろうかと思いましたが、トライしてみました。防塵防滴性能に関しては、基本的にはK10Dのやり方を踏襲していて、一切妥協していません。

── K200Dはスライドスイッチで防滴を実現していますよね。これはすごいと思いました。K20Dはロックレバーなので、この点でも苦労があったんじゃないかと。



「雅(MIYABI)」と「モノクロ」


── ダイナミックレンジの拡大機能は、白トビしずらくする機能ということですが、感度がISO 200からになりますね。細かい仕組みを教えてください。

平井氏

「やりたいことができた」と楽しそうに語る平井氏

平井 控えめの露出設定で撮影して、ハイライト部分を飛ばさないようにして、中間域は画像処理で適正な露出に補正して出力するイメージですね。階調性が変わらないようトビ際のところを重点的にいじります。

畳家 テクニックとしてまずアンダー目に撮って、後で持ち上げるという考え方は、昔からあるとおもうんですが、そうすると全体に眠い絵になるとか、デメリットもあるんですね。そうならないように注意して画像処理するというのがノウハウになります。

── 他社ほどオンとオフでハッキリと絵に違いがでないなと感じました。ペンタックスの場合、写真的にはすごくいいんですが、ユーザーにアピールしにくい面もあるかなと思いました。

平井 いつも安定した再現ができるかというと難しい面はありますね。当社の場合、中間調が違和感なく再現できるよう配慮しているので、差が分かりにくいというのは狙い通りですね。中間調で差が出ると、逆に「オヤっ」と思っちゃいますから。

堀田 ダイナミックに変えると、再現できるダイナミックレンジが広くなる代わりに階調性が落ちて単調な絵になってしまいます。JPEGデータに落とすと各色8bitの情報しか持てないわけですから、そこまでやっていいのかなと思いますね。

ダイナミックレンジ拡大

ダイナミックレンジの拡大機能を利用した作例。オン・オフの比較や等倍の画像は別途紹介する

畳家 デジタルって、どんなに進化したといってもハイライト側が弱いよねと言われます。アンダー側はあとから持ち上げればいいということで、だまって1/2EVアンダーで撮っているユーザーもいます。でも作り手としては、われわれの考える適正の露出で撮ってもらいたいという気持ちがあります。その第一歩なんです。

 こういうのは、一度気になっちゃうとダメという部分があると思うんですね。ハイライトの描写を重視される方からは、本当に1段分効果があるねと言っていただけています。シャドー部分の深さを重視される方だとよく分からないという声もいただきます。

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