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クリエイター魂を刺激する2つのサイト!――アドビ「EDGE Now!」「+Video」の裏に迫る

2008年03月28日 15時00分更新

文● 千葉英寿

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 アドビ システムズ(株)は25日、ブロガーが参加して、今最もクールなウェブサイトを紹介しあうウェブポータルサイト「EDGE Now!」(エッジナウ)、ならびにFlash Videoをウェブサイトに活用しようというクリエイター向けに映像制作に関する情報を伝えるウェブサイト「+Video」をオープンした。

EDGE Now!のトップページ

アドビ システムズが25日にオープンした「EDGE Now!」のトップページ

 「EDGE Now!」は、デザイン/クリエイティブツールを開発・提供するアドビ システムズの視点からデザイン性に優れたウェブサイトを紹介しようというのではなく、現在クリエイティブに関わっていたり、その分野に精通した現役のブロガーが自ら登録して、彼らの視点で気になるサイト注目しているサイトを投稿し、その人気ランキングによって“ウェブの今”を共有しようというものだ。企業側からのプッシュ型の情報発信ではなく、ユーザーサイドによるUGC(ユーザージェネレートコンテンツ)型の新しい情報発信を軸としたものと言える。これまでの企業がプロデュースしたウェブサイトとはひと味もふた味も異なるものだ。

 EDGE Now!では、登録ブロガーがクリエイティビティーの高い、企画力のあるウェブサイトを紹介するブログを書くことでEDGE Now!にアップされ、より多くのブロガーに取り上げられたウェブサイトが、注目度の高いサイトとして評価される仕組みになっている。注目度の高いサイトの月間ランキングはセンターに掲載され、一目で分かるようになっており、センター下段の「FEATURE NOW」ではランキングに入っているサイトの中でも、アドビが特に注目してほしいサイトがピックアップされている。

 また、EDGE Now!のユニークなところとして、評価対象がウェブサイトを制作しているクリエイターだけではなく、推薦したブロガーも同様に評価されている、というところだろう。右側下段の「BLOG RANKING」がそれで、参加しているブロガーが投稿数や人気サイトにいち早く注目したことなどで日々変動する、ブロガー自身のランキングとなっている。ランクアップしたブロガーは、自分のブログに貼る“マスク”(いわゆるブログパーツ)の柄がランクに応じて変わるというご褒美(!?)も用意されている。

 右側上段には今回、EDGE Now!と同時にスタートした「+Video」のウェブサイトにリンクしており、技術面や表現面で優れた動画が再生されている。+Videoはアドビ システムズが、これからウェブ上でビデオを使い始めようと考えているクリエーター向けに開設した情報発信サイト。単に動画編集ツールの使い方を紹介するのではなく、ウェブクリエーターにとって必要な知識を分かりやすく解説している。コンテンツの内容としては、Flash Videoを使ったウェブサイトの事例紹介や、アドビ システムズが主催するFlash Video関連のセミナー映像、著名クリエイターへのインタビューなどで、ウェブビデオに関する知識や情報を網羅するサイトとなる。



「アドビがわけの分からない
マスクマンのサイトを始めた!?」


 同社として新たな試みとなる2つのサイトだが、クリエイティブソリューションズ部Webグループ リーダーの西山正一氏にEDGE Now!の、ビデオソリューションズ部部長の古村秀幸氏に+Videoの開設にまつわる裏側を聞いた。

―― 「EDGE Now!」を企画した経緯をお聞かせください。

西山正一氏

クリエイティブソリューションズ部Webグループ リーダーの西山正一氏

西山 ウェブ制作の技術的な部分にフォーカスして情報をご提供する「Adobe Developer Connection」(アドビ デベロッパコネクション)というサイトを昨年(2007年)立ち上げました。こちらは主にウェブに関連した技術情報のポータルとして、英語サイトの情報を和訳した部分などを中心に構成しています。この中には「事例 Site of the week」のように注目されるウェブサイトを紹介するコーナーもあるのですが、紹介できる絶対数が少ないこともあって、クリエイティブ系の話題に欠けるところがありました。そこで昨年10月頃から、ユーザーのみなさんが興味を持っているサイト、話題にしているサイトとはどういうものなのか? そういう情報がタイムリーに提供できる場が必要ではないか? という話を議論した結果、今回の「EDGE Now!」のプロジェクトがスタートしました。

■関連サイト


―― ブロガーが投稿してウェブサイトのランキングが決まる形式になっていますが、なぜ投稿できるのがブロガーだけなのですか?

西山 それについてはまず、始めからいい情報はなかなか集まらないだろう、という心配がありました。であれば、最初は身分証明的な部分で、人に情報を伝えるのが好きな、読者が興味を持ってくれそうなブロガーに絞ることで、安全策を取ったというわけです。そうした方たちに向けて、ウェブ上で話題になりそうなコンテンツを作って、それがフック(きっかけ)になるようにと考えたわけです。
 そこで2月の中旬から、怪しいマスクをかぶった一団が出てくるムービーを掲載した、メッセージもさほど明確ではないテストサイトを立ち上げました。それが、『アドビがわけの分からないマスクマンのサイトやっている』ということで話題にしていただき、参加登録開始から24時間で100人以上のブロガーのみなさんにご登録いただけました。

―― この仕組みだとアドビ システムズとしての意志・意図が入る余地はないように思いますが、なんらかのフィルタリングを用意するのですか?

西山 100%登録してくれたブロガーの方々の主導ということになりますね。ただし、商用サイトやアダルトサイトについては、対象から除外するためにフィルタリングをかけています。またランキングには関係ないのですが、グラフィカルなサイトばかりがピックアップされないように、「FEATURE NOW」ではアドビ システムズから『これを見てほしい』、『注目してほしいサイト』をピックアップして紹介していきます。

―― 今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか?

西山 さまざまな仕掛けを増やしていきたいと考えています。また、優れたサイトをご存じの方は何もブロガーだけとは限りませんので、今後はブロガー以外の方にもご参加いただける仕組みを取り入れていきたいと考えています。



ウェブ制作会社は映像制作にも
チャレンジしてほしい


古村秀幸氏

ビデオソリューションズ部部長の古村秀幸氏

―― 次に同時にスタートした「+Video」ですが、こちらはどういった経緯で企画されたのでしょう?

古村 いわゆる“イケてるサイト”は、いまやビデオを取り入れたリッチコンテンツ系に話題が集中しています。弊社では数多くのビデオ編集ツールをご提供していますが、当初考えていたウェブサイトは主にビデオコンテンツにフォーカスしたもので、EDGE Now!とは別で考えていました。ところがウェブサイトで映像が扱われることが多くなってきているため、ウェブのクリエイターにももっとビデオツールを使ってほしいと考えるようになりました。そこで今回、EDGE Now!と連動した形で+Videoをスタートしたわけです。

―― 映像制作とウェブ制作では業界も制作の手法も異なるため、実際には難しいのでは?

古村 確かに現在、多くのウェブ制作における映像は、映像を専門とする制作会社に発注しているケースが多いようで、業界が違う分、使う言葉も違っていたりして制作上の課題は多いようです。同時に、先だってウェブクリエイター向けに行った+Videoのセミナーには300人以上が集まり、大いに関心が高まっていることが分かりました。であれば、ウェブ制作会社にウェブ向けの映像制作にもぜひチャレンジしていただきたい、と考えました。それによって新しい分野のマーケットが拡大できる可能性もありますから。EDGE Now!と連動することで、ウェブクリエイターにEDGE Now!から+Videoを紹介することもできますし、EDGE Now!で投稿されている映像系サイトは+Videoでも紹介していきます。

+Videoのトップページ

EDGE Now!と同時にオープンした「+Video」のトップページ

―― 具体的にはどのようなコンテンツを準備されていますか?

古村 「Start Up! Web Video」という、ウェブ向けの動画を制作する、初歩的なチュートリアルを用意しています。動画をウェブに取り込む、といったところから始まって、「Adobe Premire Pro」を使って余分なシーンをカットし、編集したものをFLV形式で出力、Flashオーサリングツールで取り込む、といった流れをムービーでご覧いただき、最後まで見ると詳細を記載したPDFがダウンロードできたり、体験版のツールにリンクしています。
 また、すでに映像制作を行なっているウェブクリエイターの方たちにインタビューした「Interview Channel」も用意しています。初めにご登場いただいているThe Strippersの遠崎寿義氏が、「まずは恐れずにやってみましょう」とコメントされており、図らずも私たちのメッセージを代弁していただいています。


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