――私はちょうど小学生から中学生のときに「スレイヤーズ」を読んでたんですが、当時はあまりライトノベルとかそういうことを考えてなかったですね。
大森氏:「スレイヤーズ」とか「ロードス島戦記」は、あの時代のトップクラスのライトノベルですね。あの時代のっていうか、これまで出たライトノベルの中でもトップ5と言えるくらいの一時代を作った作品たちです。特にスレイヤーズはいまだにアニメ化が予定されていますし、外伝として新作もまだまだ登場している。非常に息が長いですね。
あの当時は、まだライトノベルという言葉も一般的には出ていませんでしたが、数年前のライトノベル解説本とかが出ていたときと比べても2倍くらいは売れていましたね。
あの当時の売れ方を知っている人からすると、今はライトノベルは売れなくなった、と言う人もいますが、文芸書なども含めた書籍全体で考えると、出版不況の中では売れている方だと思うんですよ。一昨年くらいにライトノベルの新規参入が非常に多くありましたしね。今から新規参入して電撃文庫に追いつくのは無理としても、それより下のところならなんとか追いつけるかも、といった状況ですし。当時、新規参入して今はもう残っていないレーベルも多いんですけど。
あと、ライトノベルという事業は1つがヒットすれば、それを軸に回り始めるという所があるので、どうしても作品の数が多くなりますね。たくさん出して、売れたものを育てていきましょうという感じで。売れるモノだけを出しましょうという文芸書的な売り方では無理な市場なんです。
ライトノベルとケータイ小説はそもそも文化が違う
――ところで、ライトノベルよりもさらに簡単なモノとしてケータイ小説が今話題になっていると思うんですが、ライトノベルとケータイ小説の位置付けみたいなものはどうでしょう。
大森氏:中身の簡単さという点では、文芸書よりもライトノベル、ライトノベルよりもケータイ小説というのはあると思いますが、ライトノベル読者層とケータイ小説読者層っていうのは、全然違う所にあるんですよ。
ケータイ小説の読者層は、どちらかと言うとヤンキー文化圏なのでアニメとかは見ない。10代で結婚して引退みたいな、早く家庭に入る文化圏なんですよね。ライフスタイルが全く違ってて、ジャスコとか北関東の郊外店でよく売れるような感じなんですよ。ライトノベルは逆に都市型というかアキバ型。コミケから出てきたような文化なんですよね。もちろん北関東でもライトノベルを読んでいる人はたくさんいると思いますが。
――本日はありがとうございました。