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教えて、大森望せんせい!

30代で始めるラノベ生活! まずはコレを読め!

2008年03月31日 18時27分更新

文● 大森 望 ●聞き手 編集部

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 「涼宮ハルヒ」シリーズのヒット、アニメ化などを経て、ティーンズ層だけでなく一般層にも浸透してきたライトノベル(ラノベ)。一連のブームこそ落ち着いた様子だが、刊行される書籍は年々増加している状態だ。軽い文体だから気軽に読めるし、ネット上で話題となっているから「ちょっとラノベを読んでみようか」と思っているラノベ初心者も多いと思う。しかし、前述したように年々増え続けている作品の中で、「これだ」と思う作品を1発で探し当てるのは至難の業だ。

大森さん
評論家の大森 望氏

 そこで今回は、旧月刊アスキーでコラムを長年連載するなどアスキーに関わりが深く、書評家の三村美衣氏との共著「ライトノベル☆メッタ斬り」でおなじみの評論家 大森 望氏に、「オススメのライトノベル」から「そもそもライトノベルとは何なのか」といった所までお話を伺ってきた。



ライトノベルはキャラクターありきのお話


――まず最初にお聞きしたいのですが、ライトノベルと普通の小説との違い、「ライトノベルらしさ」というのはどの辺りになるんでしょう?

大森氏:ライトノベルは、大塚英志氏が提唱した「キャラクター小説」説というのが一般的に言われてるんです。ストーリーとか描写とか文章とかよりも、とにかくどんなキャラなのかというのが大事なんですよ。そのキャラクターが小説的なリアリズムよりも、どちらかというとアニメキャラに近い、「アニメ的なリアリズム」で成立している、というのが特徴ですね。

 だから、割と現実的ではありえないような、例えば「うる星やつら」のラムだとか、「めぞん一刻」の音無響子さんだとかが、小説の中に普通にいるのがライトノベルの基本と言えますね。

――数年前に比べるとライトノベルの勢いというのもやや落ち着いた感じはあるんですが、これからライトノベルを読もうと思っている人はどんなのを読むのが良いんですか?

大森氏:現在の状況で言うと、前述したような典型的なライトノベル以外もいっぱい出てきているんですよ。なので、狭い意味での基本的なライトノベルを知りたいのであれば、「涼宮ハルヒ」シリーズを読むのが一番早いですね。

コミカライズ、アニメ化といったメディアミックスで一般層にも浸透した、角川スニーカー文庫「涼宮ハルヒ」シリーズ

 ハルヒは「メタライトノベル」と言えるようなもので、ライトノベル的なものを研究して、過剰に作ったようなものなんですよ。基本的に頭で考えて構成した作品で、ライトノベルの極地にあるようなキャラばかりを集めて作ってみた、という感じですね。

――たしかに主人公だけじゃなくてキャラクターが非常に立っている気はしますね。

大森氏:立っているというよりも、ものすごくみんなライトノベル的なキャラクターですよ。ハルヒがオリジナルであるということは全くないんだけど、そういうキャラクターを集めていることで、逆にオリジナリティがある作品になっているというか。そういう意味では皮肉な話ですね。

 要するにライトノベルとかのキャラクターっていうのは結局、どストライクで見え見えに狙ってるキャラでも別に嫌じゃない、ってところが大きいです。

――ライトノベルを読んでいると、キャラクターありきの話もそうなんですがハードルが低いというか、読みやすい感じはしますね。

大森氏:「ライトノベルの定義」みたいなことを考え始めると、どこまで含めればいいのかって話になりますね。ちょっと古い話になりますけど基本的には「少女マンガが難しくて読めない子でもスッと読めるのがライトノベル」というところがあったんですよ。


現在のライトノベル自体はよくわからない状態だが、登場は90年


――この「ライトノベル」という風に呼ばれだしたのはいつからなんでしょう?

大森氏:ライトノベルという名前ができたのははっきりとしていているんです。ニフティサーブのSFフォーラムの中で「角川スニーカー文庫」や「富士見ファンタジア文庫」のSF小説を扱うときに、どんな名前を付けるのがいいかっていう議論があって、そのときに初めて「ライトノベル会議室」って名前が付いたんです。それが1990年の12月くらいだったかな、それくらい。

 当時は「軽い小説って何?」みたいな感じで評判が悪かったみたいだけど、定着したのはここ10年くらいからですね。今世紀に入ってからと言ってもいいかもしれない。

 1990年代中頃までは、極端に言えば「角川スニーカー文庫」「電撃文庫」「富士見ファンタジア文庫」の3つくらいがライトノベルとして認識されていたんですね。広くなると女の子向けやボーイズラブも含まれるかもしれないし、講談社ノベルズの作家も含まれるかもしれません。

 キャラクター小説全般をライトノベルと呼ぶ人もいますし、現在では「これがライトノベル」というようにひとくくりにするには難しい状態ですね。

――そうですね、「どこまでライトノベルと呼べるのか」というのは、みんな議論しているところだと思います。

大森氏:僕はだから、ライトノベルというものに対して境界をはっきりと定めるのはムナしいので、「ライトノベル☆めった斬り!!」という本を作ったときに、ライトノベル度数を決めようということで判定表を作ったんですよ。「これがあると何ポイント」みたいな感じで、ライトノベルらしさを示していたんですよ。

ライトノベル☆めった斬り 書評家の三村美衣氏との共著、太田出版「ライトノベル☆めった斬り」

 例えば、「お父さん、お母さんが出てくる」とか「キャラクターが20歳以上」だと減点したりね。基本的にサラリーマンは出てこないから、「まともな職業に就いていない」とポイントだったり。

 でも結局、お父さんが出てこないというのも、どの流行のライトノベルを真ん中に思うかで変わってくるんですよね。一時期はファンタジーが多くて、セカイ系中心だったんですけど、最近は現実世界モノやホームドラマ系も増えていたりと、そのときの流行によってガラリと変わるんです。

セカイ系とは

 セカイ系に関する定義はさまざまあり、現在でもハッキリとはしていない。主にセカイ系と呼ばれる作品では、主人公やヒロインが世界の命運に直結していることが多い。

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