米AMD社は27日、65nm世代のマルチコアCPU「Phenomプロセッサー」の新製品を発表した。初代Phenomの性能低下を引き起こした障害(エラッタ)が解消されているほか、PC市場初のトリプルコアCPU「Phenom X3」シリーズがラインナップされている。
新たに登場したPhenomは、アーキテクチャーは既存のPhenomプロセッサー(関連記事)と同じであるが、既存のPhenomの性能低下の原因となったTLBとキャッシュメモリーによる障害が解消されたバージョンとなっている。Phenom X4 9xx0番台の場合、CPU名のモデルナンバー下2桁が“50”となっているのが、新バージョンの印となる。
従来からあるクアッドコア版に加えて、新たにトリプルコア版が登場したことを受けて、CPU名に内蔵コア数を示す“X4”“X3”が付記されるようになった。なお、X4のモデルナンバーは9xx0、X3のモデルナンバーは8xx0となっている。
また、低消費電力版の「Phenom X4 9100e」も発表された。動作クロックを1.8GHzと低く抑えることで、TDPを65Wに止めている(他のPhenomプロセッサーは95~125W)。
製造プロセスルールは65nm SOIプロセスで、トランジスター数は約4億5000万個(X3とX4で共通)。CPUダイ上に3~4個のCPUコアとキャッシュメモリー、統合されたメモリーコントローラー(DDR2-1066まで対応)を備える。各コアごとに512KBの2次キャッシュメモリーを備えるほか、コア全体で共有される3次キャッシュメモリーを2MB備える。対応CPUソケットは「AM2」「AM2+」。チップセットとのインターフェースはHyperTransport 3.0に対応する。
なお、最高速品となる「Phenom X4 9850」は、CPU動作クロックを変える内部倍率が変更可能な「Phenom X4 9850 Black Edition」のみが発表されている。Phenom X4 9850は動作クロック2.5GHzで、HyperTransportのクロックは4GHz(2GHz×2)と高速化されているが、その分発熱も多く、TDPは125Wとされている。
Phenom X4 9850 Black Editionと9750は、発表後まもなく出荷される予定。価格はそれぞれ、235ドル(約2万3500円、1000個ロット時の1個当たりの価格)、215ドル(約2万1500円)の予定。それ以外のラインナップについては、時期・価格とも未定。