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業界研究レポート 第2回

家電量販店業界

家電量販店大戦争! なぜそんなにM&A?

2008年03月27日 12時00分更新

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業界研究レポート

ここ数週間、家電量販店業界の動向が賑やかになっている。3月10日にベスト電器がさくらやを完全子会社化され、21日には最大手のヤマダ電機が、新宿駅付近に大型店を出すことが報じられた。出店予定地はヨドバシカメラやビックカメラの旗艦店に近く、激戦は必至と予想されている。2006年後半から相次いだM&A(企業の合併・買収)も、まだ収束する気配は見られない。今、この業界では何が起きているのか。

業界1位ヤマダ電機 VS. 反ヤマダ連合 ベスト電器M&Aの標的に

 家電量販店業界の国内総売上高は、およそ5兆7000億円と言われている。その中で業界7位のベスト電器は2006年12月、さくらやの株式の40%を取得して連結子会社化。ベスト電器の深澤政和専務がさくらや社長を兼務し、共同仕入れなどでコストを削減したり、旧本店の新宿店を閉鎖するなどして経営再建を進めてきた。だが、さくらやの業績改善は難しく、完全子会社にすることでベスト電器の東日本営業部と本社機能を一体化。物流から人事までの効率化を図り、売場の競争力を強化するという。

 九州を地盤とするベスト電器は、かつてフランチャイズ店の全国展開によって業界1位の売り上げを誇っていた。だが、1990年代後半から激化した大規模店展開の波に乗り遅れ、業界7位にまで陥落。近年はフランチャイズ店を大規模直営店に集約するなど効率化を図る一方、昨年9月には業界5位のビックカメラとの資本・業務提携合意を発表した。翌月に提携が結ばれ、ビックカメラはベスト電器の株式9.9%を保有する筆頭株主となった。なお、ベスト電器は約57億円の調達資金を、全額さくらやの借入金返済に充てたという。

 この提携を見て動き出したのが、業界1位のヤマダ電機だ。提携合意の発表以前から、ヤマダ電機はベスト電器の株式6.47%を取得していたが、合意発表の直後に20%超まで買い増す方針を表明。実際、合意発表の5日後には7.71%まで買い増した。当時、ヤマダ電機による露骨な敵対的買収の動きに、ベスト電器は不快感を表明した。それだけに、ビックカメラとベスト電器の提携は、単なる人材やネットワークの相互補完だけでなく、ヤマダ電機の傘下になることに拒否を示す行動とも見られた。

業界研究レポート

家電量販店業界の勢力図

 さらにベスト電器を巡っては、業界2位のエディオンが今年1月に資本・業務提携を打診。エディオンはベスト電器の株式3%を保有するほか、昨年2月からビックカメラとも資本・業務提携(相互に株式を3%ずつ持ち合い)している。ところが、ベスト電器はこの打診を拒否。提携案に、エディオンによるベスト電器の株式保有率を10%未満の範囲で引き上げることが含まれるため、すなわちヤマダ電機の買収意欲を刺激すると判断したからだと報じられている。

お詫びと訂正:上記の文中に掲載されております「家電量販店業界の勢力図」には誤りがありました。図中エディオンの業務提携先をビックカメラと修正させていただいております。読者の皆さまならびに関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

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