もっとタッチパネルを活かしてほしい
細かい機能強化が多く盛り込まれたT300ではあるが、ほとんどの機能が“いかに気軽に撮影できるか”というところを重点に置いている。そのため、多くのユーザーの使い方であれば、“オート+顔検出”で十分にきれいな写真が撮れるだろう。
とはいえ、単に“オートだけで撮るカメラ”というわけでもない。例えば顔検出機能を使って撮影している場合でも、液晶画面をタッチすればその位置にピントが合う。なんらかの原因で顔検出が動作しないような場合でも、すかさず合焦できるので便利だ。
撮影画像に関しては、いかにもサイバーショットらしい鮮やかな発色で、Dレンジオプティマイザーによる暗部引き上げがあっても、発色の違和感が少ない。とはいえ、広角時に周辺部、特に画像の四隅が明らかに暗くなり、描写も劣化しがちだ。
これはレンズをそのままに撮像素子を1/2.5インチから1/2.3インチに大型化して広角化した影響が大きいと思われる。そのうえ、望遠側にすると細部描写が落ちてしまうなど、1010万画素CCDのパフォーマンスを十分活かしているとは言いがたいのも確かだろう。小さな屈曲光学系レンズを用いていることからやむを得ないところではあり、スリムで軽快なボディーとのトレードオフと割り切ろう。
やや気になったのは、AF位置の指定や検出した顔の選択など、タッチパネルによる操作はデジタルカメラの入力方式として面白いのだが、フルオートで奇麗に撮れる機能が盛り込まれてくると、せっかくのタッチパネル操作を使う機会が少なくなりがちなところだろう。自動シーン認識をはじめとしたフルオートで奇麗に撮る機能は、今後のコンパクトデジタルカメラに共通する機能であろうが、タッチパネル機の利点を活かした機能が、もう少し欲しかったように思える。
ほとんどの撮影シーンに対して、フルオートで撮っても十分な仕上がりで撮れるうえ、薄くて携帯しやすいボディーに大画面タッチパネル液晶ディスプレーの使いやすさなど、T300はT200のコンセプトをさらに成熟させた製品だ。コンパクト機としての完成度は確実に上がっており、楽しめる1台であることは間違いない。
DSC-T300のスペック | |
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製品名 | サイバーショット DSC-T300 |
撮像素子 | 1/2.3インチ有効1010万画素(総1030万画素)CCD |
レンズ | 光学5倍ズーム、F値 F3.5-4.4 |
焦点距離 f5.8~29.0mm(35mmフィルムカメラ換算時:33~165mm) | |
静止画撮影 | 最大3648×2736ドット |
ISO感度 | オート、ISO 80/100/200/400/800/1600/3200 |
動画撮影 | 最大640×480ドット、30fps、MPEG-1形式 |
ディスプレー | 3.5インチワイドTFT(16:9、約23万画素) |
記録メディア | 内蔵 約15MBフラッシュメモリー、メモリースティック デュオ/PRO デュオ/PRO-HG デュオ |
インターフェース | マルチ端子(USB、AV出力) |
電源 | リチウムイオン充電池(NP-BD1) |
撮影可能枚数 | 約260枚 |
本体サイズ | 94.0(W)×21.4(D)×59.3(H)mm |
重さ | 約149g(本体のみ)/約177g(撮影時重量) |