検索を重視し、ユーザーニーズありきのサービスを
「中国でのシェア7割という結果は、あくまで検索にフォーカスしてきたため。創業者のロビン・リーは、創業してからの8年間、社内と社外からもっと違う展開をと言われても、『検索はまだアーリーステージでありやるべきことがある』と考えた。あくまで検索にこだわり、検索にフォーカスしてビジネスを進めてきた。これは、グループ全体の大切なキーワード」と舛田氏は百度の中国での成功の要因を説明する。
「ユーザー本位で物事を進めていくのも、成功の大きな要因のひとつ。百度はユーザーが求めているものを作る。クールかポピュラーかならポピュラー、テクノロジーかマーケットならマーケットを選ぶ。ユーザーニーズが大切であり、オンリーワンのプロダクトにこだわりはない。実際、中国ではプロダクトとして2番手、3番手に出しても、必ずシェアの1位や2位になれる。百度の方が使いやすいとユーザーが判断するからではないか」
「エンジニアは新しいものを作りたいという性質を持っているが、われわれはユーザーと向き合ったものを具現化しなければならない。ユーザーと向き合っていないものはリリースしない。ロビン・リーも元エンジニアだが、『エンジニアの独りよがりになるのはダメだ』と言う。ユーザーニーズを満たすためにテクノロジーがあると考える」
中国百度のサービスは日本でも展開されるか?
よくBaidu.jpは、「本家百度のあのサービスが使いたい」と言われるそうだ。
「百度の社是は『ユーザーニーズに従う』なのでなるべくそうしたいが、中国百度のサービスをそのまま日本に持ってきてもフィットしない可能性があるので、ニーズを分析した上で出したい。日本のユーザーを分析した結果、こういうプロダクトが必要だと分かり、中国の百度にあったら移す可能性はある。しかし、中国の百度にあるから必ずBaidu.jpにも移すということはない」
例えば、ウィンドウの開き方も日本と中国では違う。
「日本では別のウィンドウがたくさん開くのは嫌われるが、回線速度の問題もあり、中国では何ページもウィンドウを開くのは当たり前。それを生かして、百度は画面を移行する度に新しいウィンドウを開くが、Baidu.jpでは同じウィンドウ内で画面が推移するようにしている」
百度とBaidu.jpについては、基盤技術だけを同じにする考えだ。「あとは変わるのが当たり前」と舛田氏は言う。
「他のグローバルな会社とは違い、エリアごとの文化や人間の差を大事にするのが自分たちのグローバル化だと考えている。大事にすれば、出てくるものも当然違う。検索エンジンは文化や文明を色濃く出すものなので、現地のユーザーと向き合う現地スタッフがいて、現地ならではのものを出すようにしている。Baidu.jpは基本的には日本の会社であり、日本のサイトだと考えている」