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エンジニア・インタビュー 第4回

ライブドアの社内事情~コンペ発の初サービス「fixdap」で得たものとは~

2008年02月21日 12時36分更新

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自分の企画は自分で人選!  人材管理担当ならではの開発メンバー

 その後、役員を含めたミーティングで具体的にどのようなサービスにしていくかなどを詰め、いよいよ開発に取りかかることになった。このコンペでは、開発メンバーのアサインも、発案者の意見が考慮されるという。そこで谷口さんは、ディレクターには個人的にも親しく、自分の考えやイメージを共有しやすい人材を選んだそうだ。しかし、画面の構成を作るデザイナーやマークアップエンジニアなどには、まったく異なった視点で選んだ。

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「開発期間は1カ月ほどしかなかったのですが、あえてユーザが入力した情報によってステイタスが変わり、それによって画面に表示される情報や利用できる機能が制限されるなど変化するCGM(Consumer Generated Media)と呼ばれるサービスを作ったことがない人を選びました。通常の業務で、人材管理を担当している私は、『fixdap』の開発を教育の一環にしてスキルを伸ばしてもらおうと思ったからです。ただ、未経験者が相手だと、説明してもすぐに分かってもらえないこともあり、その点は少し苦労しました」

 外部が大きくかかわる業務での教育は難しいが、今回のケースのように社内コンペから生まれて発信していくような業務は、教育に適しているといえる。開発がそのまま教育の場にできれば会社のメリットも相乗される。谷口さんのポジションならではのよく考えられた人選だ。ただし、未経験者に何をどうするか、自分のコンセプトを形にしてもらうためには、事細かに説明する必要がある。谷口さんはどう工夫したのだろうか。

「担当者を集めて、ホワイトボードに書いて説明していきました。『分からない』と言うところは何度でも繰り返し説明して、不明点を1つずつ潰していきました。原始的な方法ですが、実は効率がいいやり方なのです。例えば、メールで質問を受けて答えるやり方だとキャッチボールに時間がかかりますし、『資料をここに置いておいたから』だと、なかなか相手の理解度が見えません。これは自分がそうだからなんですけど(笑)」

 こうして完成したfixdapは12月にリリースされた。このサービスの最大の特徴は、非常にシンプルで、誰にも一目瞭然で使いやすいことだ。ログインしてプロジェクトの項目を登録し、参加人数、公開の制限などを設定すればすぐに使える。プロジェクトは仕事でなくても構わない。「今年の目標」というプロジェクトの項目を立ち上げ、公開設定にすれば、コミュニティのように誰もが目標を書き込んで、進み具合を報告しあえる。今年の目標として「ダイエット」を掲げる人がいれば、そこに参加して進捗状況を書き込んでいく。コメントをやり取りすることも可能だ。時系列で進行していくものの場合は、ブログや掲示板より見やすく分かりやすい。

livedoor

タスク「livedoor Blogへの要望・アイデアまとめページ」は、ユーザと開発側をつなぐコミュニケーションツールとしての役割りを担っている。

 利用者数はリリース後3カ月で1500件を見込んでいたが、1カ月で2000件の登録があり、出足は好調。まずは機能の最小構成からスタートし、今後はプロジェクトごとのデザインテンプレートの変更やサイト内検索機能を追加して、バージョンアップしていく予定だ。

「ITをはじめとする企業ユースはもちろんですが、学生にも使ってもらいたいと思っています。ゼミやサークルのイベント進行の管理などにも便利ですから。将来的には企業向けの有料販売も考えています」

 ライブドアでは、第2回の社内コンペもすでに実施しており、その次も予定している。社内コンペの存在によって、ライブドアのアイデアの幅が広がった。今後、どのような柔軟な発想のサービスが出てくるのか、非常に楽しみだ。

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