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【中国IT小話】 謎の規格「CH-DVD」の風向きも微妙?

東芝HD DVD撤退報道、未発売の中国でも「なぜか大騒ぎ」

2008年02月18日 00時45分更新

文● 山谷剛史

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中国的HD DVD規格「CH-DVD」って知ってました?


 ところで読者コメントの中には昨年9月に発表された中国向けHD DVDである「CH-DVD」(China High Definition DVD Industry Association)についてのコメントがないのが気になった。

 CH-DVDは、HD DVDのディスクはそのままに、ファイルフォーマット、アプリケーションフォーマットを変更した、世界向けHD DVDと非互換の規格である。すなわちHD DVDディスクのコンテンツはCH-DVDプレーヤー上で見れないし、その逆もしかりなわけである。

 CH-DVDについて詳しくは、ファイルフォーマットやアプリケーションフォーマットを定義しただけで「中国の知的財産権を有する新世代ハイビジョンDVD 開発の成功は、中国の光ディスク技術分野が国際的にも最先端レベルに達したことを意味しています」と、のたまったニュースリリースをご覧いただきたい。誰もCH-DVDは眼中にないのだろうか、それとも忘れてしまっているのだろうか。



発売されるかどうかの雲行きも怪しく


 当初は中国においては2008年年内にCH-DVDが発売されるとアナウンスされていた。だが、世界的なHD DVDの市場縮小が決定的となった今、果たして本当に発売されるのだろうか? HD DVDは中国で別物の独自規格として生き残るのだろうか、と気になるところだ。

 CH-DVD陣営は、昨年9月のCH-DVD聯盟(正確には「中国高清光盤産業聯盟」)発足会のニュース以降、特に何もアクションを起こしていないのか、全く音沙汰のない様子。あるメディアの事情通は「(中国の)コンテンツベンダーがBlu-rayにするかHD DVDにするか決めかねている」とコメントしているが、それだけが理由ではなさそうだ。

 筆者は量産ラインが鍵のひとつと思っている。今や、プレスされたDVDメディアもまた「Made in China」であることが多い。ところが次世代光ディスク規格のタイトルを積極的にリリースしていたハリウッドの企業がみなBlu-ray陣営に移ったことから、今後大口顧客を期待してHD DVDのプレス工場を作ることは期待できない。

 別の言い方をすると、HD DVDプレス工場にとっての顧客は、既存のHD DVDのタイトルホルダーと、CH-DVDでリリースしようとする中国コンテンツホルダーだ。後者の中国のコンテンツホルダーについて、積極的にCH-DVDでリリースしようというコンテンツホルダーがどれだけいるだろうか。

 プレス工場が少なければ、今はBlu-rayとさほど価格差がないとしても、将来Blu-rayと比べてディスク1枚の価格が高めになってしまうことが考えられる。安さにうるさい中国人だけに、ディスク1枚の値段についてBlu-ray DiscよりもCH-DVDのほうがはっきりと高ければ、前者を選ぶのが自然ではなかろうか。

 ちなみにHD DVDの敗退が決まり、CH-DVD陣営である清華大学の陸達氏にCH-DVDはどうなるのか、と北京商報がインタビューしたところ「東芝の問題は市場によるものであり、HD DVDとCH-DVDは状況が異なる」とやはり強気のコメントをしている。このニュースの感想欄を見ると、その強気のコメントに不信感を表すコメントが寄せられた。

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