開発者に聞く、KAOSSILATOR
── 品薄状態が続いているようですが、どのあたりがウケたんでしょう。
コルグ 思った以上の反響がありました。作るときに意識したのはまず敷居を下げることです。そのために「複雑にしすぎないこと」にこだわりました。多機能な楽器だけ与えられても、曲を完成させるのは難しいんです。プロのアーチストだってボツ曲がいっぱいあります。でも、完成しなくても途中途中でこんなフレーズができたとか、そういうプロセスが楽しいんじゃないかなぁと。DJ的な発想でフレーズとフレーズ、ビートとビートを組み合わせるだけでも面白い。そういうちょっとした曲作りの楽しみを結晶化したのが「KAOSSILATOR」です。
── 「ループを作る専用機」として開発したんだろうと想像していたのですが、最初から演奏するものとして企画されたわけですか。
コルグ ええ、スケッチみたいなものですね。いい曲ができれば録音してもらってもいいし、上にフレーズを重ねてもいい。このあたりは自由にやってもらおうと。
── 電源を切ると作った曲も消えます。徹底した単純化ですね。
コルグ そのへんの線引きは迷いましたが、そうした刹那的なものがあってもいいんじゃないか、と。過去って美化されますよね。残らないから美化される。