最後発のソフトとして使いやすさと機能を両立
長年のExcelユーザーほど、Numbersを実際に使ってみると、そのインターフェースや操作性、まったく異なるアプローチには感心させられるだろう。すべてを関数と表計算のみでこなそうとするExcelに対して、Numbersはチェックボックスやスライダーといった、アップルならではの視覚効果の使い方が非常にうまい。
Excelはすでに多くのユーザーを抱えているため、簡単に機能を変更できないという事情もあるが、そんなExcelに切望されている機能がNumbersではうまく採用されている。Excelではとうてい作れないような書類を誰でも簡単に作れる──それこそがNumbersの魅力だと言える。
ツール位置の把握が使いこなしの第一歩
Numbersのインターフェースは、ほかのどの表計算ソフトとも異なる。基本的には画面に見えるボタンなどから作業できるので、よく使うツールの場所を覚えればすぐに操作に慣れるだろう。
活用したいのは「インスペクタ」ウィンドウだ。ここにはファイル全体の設定や用紙/余白のサイズ、エフェクトからグラフの書式設定まで、さまざまな要素が詰まっており、選択した機能によって内容が変わる。それぞれの設定場所を覚えるまで、常にこのウィンドウを表示させておくといい。
Numbersの主なインターフェース
(1) ツールバー
主なツール類が並んでおり、「表示」はツール類の表示を切り替える項目。「シート」「グラフ」などの「▼」マーク付きのアイコンと「テキストボックス」アイコンでは、それぞれの項目を挿入できる。「並べ替えとフィルタ」は、データを並べ替えたり、絞り込んだりする機能。「カラー」と「フォント」では、色やフォントを設定するためのパレットを表示する。
(2) フォーマットバー
セル内のフォーマットを設定する項目。左から、フォントの種類/サイズ/色のほか、セル内の配置、小数点や%といったセルの書式、枠線/セルの背景色の設定などが並ぶ。特に中央の「✓」と「▼」ボタンに注目。前者では「チェックボックス」、後者では「スライダー」や「リスト」といった、Numbers特有の便利な機能を追加できる。設定は「インスペクタ」ウィンドウから行う。
(3) シート
Excelのウィンドウ下部にあるシートタブの機能は、Numbersではウィンドウ左側に配置されている。シート内に複数の表やグラフを配置している場合、シート名の下に表やグラフのタイトルが並び、ここから目的の項目を直接選ぶこともできる。複数の表を配置したNumbersファイルをExcel形式で書き出すと、Excelでは表がそれぞれ別々のシートとして読み込まれる。
(4) スタイル
Numbersの「スタイル」は、表の見た目を一発で設定する機能だ。あらかじめタイトル(ヘッダー)や見出しなどを設定したプリセットが用意されている。また、右端の「▼」をクリックすると、自分で設定したフォント/セルの背景色/枠線などの設定を、名前を付けて保存したり、新規に作る表のスタイルとして設定したりすることも可能。ワンクリックで華やかな表が出来上がる。
(5) 集計
選択中のセルの値を計算した結果が常にここに表示される。いちいちSUM関数を設定しなくても複数のセルをドラッグしたり、「command」キーを押しながらクリックしていくだけで合計や平均がわかるのは非常に便利だ。なお、この「合計」などの単語部分をセルにドラッグすると、選択中のセルの計算式も挿入できる。関数名がわからなくても直感的に関数を追加できるのだ。
(6) 表
Numbersでは、表の外枠の境界線をクリックすることで表自体を動かせる。また、右上/左下/右下にあるタブをドラッグすると、行や列を増減できる。新しく表を作るときは、ツールバーの「表」ボタンを使おう。ヘッダーの書式が設定された「ヘッダー」、チェックボックス付きの「チェックリスト」、チェックした項目のみ計算される「チェックリスト(合計)」などの多彩なフォーマットを用意している。
(7) グラフ
グラフは円/棒/折れ線/分布図など、Excelと似たものを用意。3Dタイプのグラフでは、奥行きや角度、ライティングを設定したり、表面に張るテクスチャーも選べる。グラフを選ぶと元データの表もハイライトされ、行と列を入れ替えることも可能だ。
(8) メディア
写真の場合は「表示」メニューの「イメージ調整を表示」で調整機能を呼び出せる。動画と音声は、クリックすれば再生/一時停止の制御が可能。Excel形式でもファイル内に埋め込まれ、開いたうえで動画や音声を再生できる。なお、「インスペクタ」の「グラフィック」タブでは、反射や影などの効果も施せる。
(9) 数式
関数の書式はExcelとほとんど同じだ。「関数名([最初の数値/セル]:[最後の数値/セル])といったかたちで参照する範囲を指定する。「表」ボタンの「合計」などで追加した表であれば、「SUM(1月)」のように見出しに設定した文字列で列全体を選ぶことも可能。
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