このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

“目”がテーマのユニークな作品の数々

【レポート】アートな発想と企業の技術力が融合した「200∞年目玉商品」展

2008年01月30日 20時23分更新

文● 千葉英寿

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

南半球で最強の視力を
おサイフケータイで体感!


 メイン会場とは別に独立したコーナーで展示されたインスタレーション、「JAMBO! AFRICA!!」(こんにちは! アフリカ!!)では、ロハスやスローフードの提唱で知られる月刊「ソトコト」の編集長、小黒一三氏が手がけた作品を展開している。(株)竹中工務店や凸版印刷(株)、KDDI(株)(特別参加企業)とともに、映像・写真・ウェブ・携帯電話といったさまざまなメディアを通して、南半球で最強の視力をもつケニア(東アフリカ)のマサイ族との交流と、マサイの暮らしや風景を伝える内容となっていた。

JAMBO! AFRICA!!

「JAMBO! AFRICA!!」小黒一三/KDDI、竹中工務店、凸版印刷 竹中工務店が再現したマサイ族の家

JAMBO! AFRICA!!

「JAMBO! AFRICA!!」小黒一三/KDDI、竹中工務店、凸版印刷 おサイフケータイの機能を使い、auデザインケータイの「INFOBAR2」を使って、マサイの抜群の視力が見たアフリカの動物たちをケータイの動画ストリーミングで疑似体験できる

小黒氏

小黒氏は、ケニアマサイマラの環境ロッジ「ムパタ・サファリ・クラブ」を運営するなどアフリカと関わりが深いことから、本作品「JAMBO! AFRICA!!」のプロデュースを担当した



朝顔の種にベアリングのボール


INNER SIGHT

「INNER SIGHT」山元勝仁/アッシュ・ア・ドゥ、ジールアソシエイツ、竹尾、マックスレイ、三宅デザイン事務所 さまざまな色や形に切り取かれたカラフルな紙を何層にも立体的に重ねたもので、複雑だが明るく楽しい空間が作り上げられている

 1Fロビーには、山元勝仁氏と三宅デザイン事務所、紙の専門商社の(株)竹尾、照明器具メーカーのマックスレイ(株)がコラボレートした作品「INNER SIGHT」(インナーサイト)が、フロアいっぱいに展開されている。メイン会場に続くB1のエントランスに降りてくると、日比野克彦氏による「目分量」の4作品に出迎えられる。まず目を引くのは、1F部分から吊り下がっている朝顔のつるを使って編まれたインスタレーションと、日比野氏と(株)アルフレックスジャパン(家具インテリアの企画・製造・販売会社)が朝顔の種をモチーフに製作した3つのオブジェのようなソファで構成された「芽が出る時を見極めるイス」だろう。

芽が出る時を見極めるイス

「芽が出る時を見極めるイス」日比野克彦/アルフレックスジャパン 朝顔のつるは日比野氏が全国各地で進めている“明後日朝顔プロジェクト”で収穫されたもの。ここでは水戸芸術館と金沢21世紀美術館で収穫されたものを使用しているとのこと。ソファは一人で座るよりも二人、三人で座ると安定する、コミュニケーションを志向した作りとなっている。当然ながら家具メーカーが手がけただけあって、肌触りは高級家具そのものだ

 そのとなりのスペースに設置された椅子は、日比野氏とコクヨオフィスシステム(株)のコラボレーション作品「見つめ合うイス」だ。床に巡らされた支柱に固定することで、使用者の視線をコントロールしている。

見つめ合うイス

「見つめ合うイス」日比野克彦/コクヨオフィスシステム 軽量で強度に優れたモノコック構造のオフィスチェア「marimba」を使って制作された

 通路側に展示されているのは、日比野氏とセイコーインスツル(株)による作品「時の目盛り」。2つの重りでチクタクと動く昔懐かしい壁掛け時計をモチーフに、「時間」と「目盛り」を表現している。また会場の中庭には、日比野氏と日本精工(株)による「玉一杯」がある。地球上に存在するあらゆる球体のなかで、最も丸い球と言われているベアリングボール30万個を使ったインスタレーションだ。

時の目盛り

「時の目盛り」日比野克彦/セイコーインスツル セイコーが手がけているイッセイミヤケウォッチプロジェクトの山中俊治デザインによる「OVO」とそのパッケージを用いて制作された

玉一杯

「玉一杯」日比野克彦/日本精工 一瞬、これがベアリング? と疑ってしまうほどに美しい作品だ

ニュマティックキルト

「ニュマティックキルト」ティム・ホーキンソン/東レ

 さらに奥のスペースには海外作家の作品が並ぶ。壁面を飾るのは米ロサンゼルスのアーティスト、ティム・ホーキンソン(Tim Hawkinson)氏が東レ(株)と三宅デザイン事務所がファッションブランド「プリーツプリーズ」のために開発した布地を使って1997年に制作した「ニュマティックキルト」。空調ダクトにつないで風を送り込むことで、大きく膨らむ仕組みになっている。反対側の壁面には、パリと東京を拠点に活動するCGアーティスト、パスカル・ルラン(Pascal Roulin)氏がニュマティックキルトにインスパイアされて制作した、プリーツプリーズが楽しく踊るCGアニメーションが投影されている。

PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE outfits with Tim Hawkinson's artwork

「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE outfits with Tim Hawkinson's artwork」パスカル・ルラン

 また、ルラン氏は三井不動産(株)とのコラボレーションで制作した、江戸時代と現在の日本橋をCGでつないで表現した「視線の架け橋」も出品していた。視線の架け橋は1つの画面に並んで表示されている“江戸”と“東京”が同じアングルで表現されている。

視線の架け橋

「視線の架け橋」パスカル・ルラン/三井不動産


前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ